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エクササイズはうつ病に効果的か?  

Cochrane Libraryの系統的レビューの結果から(2013年9月12日発表)

うつ病におけるエクササイズ

Exercise for depression

Gary M Cooney, et al.


原文はこちら


背景:

うつ病は、よく見られる疾患であり、世界中で不健康状態と死亡の重要な原因となっている。

うつ病では、一般的に抗うつ薬および/または心理療法による治療が行われるが、エクササイズなどの他のアプローチを好む患者もいる。

エクササイズによってうつ病が改善される可能性があるとする理論的な根拠がいくつかある。

これは、2009年に最初に発表された以前のレビューの改訂版である。

目的:

成人のうつ病治療における無治療または対照の介入と比較した場合のエクササイズの有効性を判定。

検索方法:

2012年7月13日までのCochrane Depression, Anxiety and Neurosis Review Group's Controlled Trials Register (CCDANCTR) を検索した。

このRegisterには、以下の書誌データベースから関連する無作為化比較試験が登録されている。Cochrane Library(全期間)、MEDLINE(1950年~現在)、EMBASE(1974年~現在)、PsycINFO(1967年~現在)。

また、www.controlled-trials.com、ClinicalTrials.gov、WHO International Clinical Trials Registry Platformでも検索した。

日付不明または言語制限のある研究も検索に加えた。

さらに、2013年3月1日までのCCDANCTRを検索し、まだ登録されていない適格な可能性のある試験は「分類待ち」としてリストに載せた。

選択基準:

うつ病(試験の著者によって定義)の成人(18歳以上)を対象に、エクササイズ(American College of Sports Medicineの基準で定義)と標準治療、無治療またはプラセボ治療、薬物治療、心理療法、または他の積極的治療を比較した無作為化比較試験とした。

また、クラスター試験と個人を無作為化したクラスター試験も選択した。

産後うつ病の試験は除外した。

データ収集と解析:

本レビューの2名の著者が、試験および追跡の終了時点(利用可能な場合)での主要評価項目および副次評価項目に関するデータを抽出した。

全体の統合した(pooled)効果では、Hedges' g法と標準化平均差(SMD)を用いて、二値データではランダム効果モデルのリスク比を用いて、試験ごとに効果量を算出した。

うつ病を評価するために複数の様々なツールが用いられていた場合には、主要評価項目のみをメタ解析に含めた。

エクササイズの「量」が複数記載されていた場合は、最も大きな「量」のデータを用いた。また、低い「量」のデータを用いて感度分析を行った。

うつ病の診断方法(診断面接または尺度のカットオフ値)、エクササイズの強度、エクササイズのセッション数が効果量に及ぼす影響を検討するためにサブグループ解析を行った。

2名の著者が「バイアスのリスク」について評価した。

感度分析によって、研究の質が評価項目に影響を与えているか検討した。

主な結果:

39件の試験(2326人の被験者)が、本レビューの選択基準を満たしていた。そのうち37件の試験のデータをメタ解析で用いた。

多くの試験で複数のバイアスの原因が認められた。14件の試験で無作為化が適切に隠蔽化されており、15件でintention-to-treat解析が行われていた。また、12件で評価項目を盲検化した評価者を用いていた。

エクササイズと無治療または対照の介入を比較した35件の試験(1356人の被験者)で、治療終了時点でのうつ病に関する主要評価項目の統合したSMDは、-0.62(95%信頼区間[CI]:-0.81~-0.42)であった。これは中等度の臨床効果を示すものである。

中等度の異質性(I(2) = 63%)が認められた。

適切な割付けの隠蔽化、intention-to-treat解析、評価項目を盲検化した評価を行っていた6件の試験(464人の被験者)のみを解析したところ、主要評価項目の統合したSMDは、統計学的に有意ではなかった(-0.18、95%CI:-0.47~0.11)。

気分に関する長期的な追跡データを報告した8件の試験(377人の被験者)から統合したデータでは、わずかではあるが、エクササイズの効果が認められた(SMD:-0.33、95%CI:-0.63~-0.03)。

29件の試験で治療の受容性が報告されていた。3件の試験ではQOLが報告されており、コストについて報告されていた試験はなかった。また6件で有害事象が報告されていた。

治療の受容性(介入中の脱落者の人数で評価)のリスク比は1.00(95%CI:0.97~1.04)であった。

エクササイズと心理療法を比較した7件の試験(189人の被験者)を解析したところ、有意差は認められなかった(SMD:-0.03、95%CI:-0.32~0.26)。

エクササイズと薬物治療を比較した4件の試験(300人の被験者)の解析でも、有意差は認められなかった(SMD:-0.11、95%CI:-0.34~0.12)。

1件の試験(18人の被験者)では、エクササイズが高照度光療法より効果的なことが報告されていた(平均差[MD]:-6.40、95%CI:-10.20~-2.60)。

解析対象とした試験ごとに、2名の著者が独立して、Cochrane Collaborationの「バイアスのリスク」ツールに従ってバイアスの原因を評価した。

エクササイズの試験では、介入を受ける者と介入を行う者を盲検化する際に、こういった試験特有の問題がある。

多くの試験では、介入後の解析のための手法として、参加者による自己報告式の評価尺度を用いていた。これは結果にバイアスが生じる可能性がある。

著者の結論:

エクササイズには、うつ病の症状の軽減において、対照群の介入と比較すると中等度の効果が認められた。しかし、方法論的に頑健な試験のみで解析した場合には、エクササイズの効果はわずかであった。

心理療法または薬物治療と比較した場合には、エクササイズにこの両者を上回る効果は示されなかった。しかし、この結論は、数件の小規模の試験に基づいたものである。



一般向けの要約

うつ病におけるエクササイズ

このレビューの重要性:

うつ病は、よく見られる機能障害性の疾患であり、世界中で1億人以上が罹患している。

うつ病は、患者の身体的な健康に重大な影響を及ぼし、またQOLを低下させる。

研究では、薬物治療と心理療法がうつ病の治療に効果的であることが示されている。

しかし、他の治療法を試みようとする患者は多い。

NHSのガイドラインの一部では、エクササイズが、もう1つの治療選択肢となりうる可能性が示唆されている。

しかし、エクササイズがうつ病の効果的な治療であると研究によって実際に示されるかどうかは分からない。


このレビューに関心を抱くと思われる集団:

うつ病に罹患している患者や家族。
一般開業医。
精神保健の政策立案者。
精神保健施設の専門家。


このレビューで取り上げる疑問点:

このレビューは、2010年のCochraneレビューの改訂版である。そのレビューでは、エクササイズは、うつ病の症状を軽減させることができるが、その効果は小さく、患者が運動を止めた後には、その効果は持続しないと考えられると示唆されていた。

このレビューでは、以下の疑問に回答できるように、最後のレビュー以降、うつ病治療としてのエクササイズの効果に関する試験の実施が増えているかどうかを明らかにしようとした。

エクササイズは、うつ病の症状の軽減において無治療よりも効果的か?

エクササイズは、うつ病の症状の軽減において抗うつ薬よりも効果的か?

エクササイズは、うつ病において心理療法または他の非医学的な治療よりも効果的か?

エクササイズはうつ病の治療として患者にどのくらい受容されているか?


このレビューで対象とした研究:

検索データベースを用いて、18歳以上の成人を対象に、エクササイズがうつ病の治療にどのくらい効果があるかについて検討した、質の高い無作為化比較試験をすべて探し出した。

2013年3月までに発表された研究を検索した。

また、2013年3月の時点で進行中の研究も検索した。

すべての研究は、うつ病と診断された成人を対象としていなければならず、実施された身体活動は、『エクササイズ』の定義を満たすことを保証するために、基準に合致していなければならなかった。

このレビューでは、39件の研究、合計2326人の被験者を対象とした。

一部の研究では質が低く、これにより、今回の結果の信頼度には限界がある、とこのレビューの著者らは報告した。

質の高い試験のみを対象とした場合、エクササイズには、気分に対してわずかな効果しか認められず、それは統計学的に有意ではなかった。


このレビューのエビデンスから何が分かるか?

エクササイズは、うつ病の症状の軽減において、無治療よりもやや効果的である。

エクササイズは、うつ病の症状の軽減において抗うつ薬よりも効果的ではなかった。しかし、この結論は少数の試験に基づいたものである。

また、エクササイズは、うつ病の症状の軽減において心理療法よりも効果的でなかった。しかし、この結論も少数の試験に基づいたものである。

また、質の高い試験だけを対象としたところ、エクササイズと無治療の差は決定的なものではなかったことが報告されている。

エクササイズ治療への参加率の範囲は50%から100%であった。

うつ病治療でのエクササイズが、QOLを改善するかどうかというエビデンスに関しては結論が出なかった。


今後の展開:

今回のレビューの著者らは、今後の研究では、どのタイプのエクササイズがうつ病患者に最も有益であるか、また最も有益なセッションの回数と期間についてさらに詳しく検討すべきであると推奨している。

エクササイズが抗うつ薬または心理療法と同程度に効果的であるかどうかを明らかにするためには、さらに大規模な試験の実施が必要である。

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Posted on 2014/02/17 Mon. 22:03 [edit]

category: うつ_Cochrane Library

tag: うつ  身体活動 
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