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健康に関連した行動において質問-行動効果は認められるか?  

Health Psychology誌(2015年1月)から

質問-行動効果:実際に効果があるのか、あるいは見せかけの現象なのか? 
メタ解析による無作為比較試験の系統的レビュー

The question-behavior effect: Genuine effect or spurious phenomenon?
A systematic review of randomized controlled trials with meta-analyses.

Rodrigues AM, et al.

Health Psychology, Vol 34(1), Jan 2015, 61-78.

原文はこちら


目的:

ある特定の行動に関する質問に回答するだけで、その行動が変わる可能性がある。

この現象は、単純測定効果(mere-measurement effect)または質問-行動効果(QBE: question-behavior effect)として知られている。

本研究は、健康に関連した行動に対するQBEのエビデンスをまとめることを目的とした。

方法:

レビューの対象とした研究は、健康に関連した行動や認知に関する質問票または面接の効果を、測定を実施しない対照条件または他の形式の測定と比較して検証した無作為比較試験とした。

サブグループ解析を行い、潜在的な調節因子を同定した。

結果:

41件の研究を対象とし、広範な保健行動について評価した。

メタ解析により、全体のQBEの効果は小さいことが示された(SMD*=0.09、95%信頼区間:0.04~0.13、κ=33)。
*SMD=標準化平均差(訳者補足)

対象とした研究には、中等度の異質性、バイアスのリスクの変動の高さ、出版バイアスの存在が認められた。

より徹底的に測定した条件と徹底的に測定していない条件を比較した研究を検討したところ、用量反応関係は認められなかった。

行動ごとのQBEには有意差は認められなかったが、デンタルフロスの使用、身体活動、スクリーニング検査受診のQBE(のSMD[訳者補足])は0から大きく離れていた。

行動もしくは認知を測定したか、態度を測定したか否か、質問票もしくは面接を用いた研究か、アウトカムが客観的な評価か自己報告かということによって、結果に変化は見られなかった。

結論:

健康に関連した行動に対するQBEのエビデンスがある程度認められた。

しかし、研究にバイアスのリスクや出版バイアスの存在が認められ、特に一部の研究では質問票に加えて、介入も提供されていたことを踏まえると、本研究で算出された小さな効果量は過大評価されている可能性がある。

測定することによって行動が変化するのかどうか、またどのような場合に行動が変化するのかということを確認するためには、介入内容を明確に特定し、事前に登録された質の高い試験の実施が必要である。

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Posted on 2015/01/31 Sat. 19:24 [edit]

category: 2015年1月号_Health Psychology誌

tag: 保健行動  メタ解析 
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パーソナリティが保健行動を介して健康に影響  

Health Psychology誌(2015年1月)から

パーソナリティと死亡の主要な行動的要因。

Personality and the leading behavioral contributors of mortality.

Turiano NA, et al.

Health Psychology, Vol 34(1), Jan 2015, 51-60.

原文はこちら


目的:

パーソナリティ特性は、生涯にわたって保健行動と死亡リスクの両者を予測する。

しかし、単一の研究でこれらの影響を検討したものはほとんどない。

したがって、なぜパーソナリティが健康と長命を予測するのかを保健行動によって説明した場合、その評価には限界がある。

方法:

the Midlife in the United States Studyの成人6,000人以上から成る全国標本の14年間の死亡データを利用して、飲酒、喫煙、ウエスト周囲が、パーソナリティと死亡の関連を媒介するかどうかを検証した。

結果:

人口統計学的な変数を補正したところ、追跡期間にわたって、高レベルの誠実性が死亡リスクの13%の低下を予測していた。

構造方程式モデルによって、大量の飲酒、喫煙、より大きなウエスト周囲が誠実性と死亡の関連を有意に42%媒介するというエビデンスが示された。

結論:

本研究により、パーソナリティ(誠実性)が個人の行動に影響を与え、その行動が不適切な健康アウトカムの可能性に影響を及ぼすという保健行動モデルに対する実証的な支持が得られた。

この結果によって、比例ハザードを検証する際に、構造方程式モデリングの枠組みで媒介を評価することの有用性が明らかにされた。

健康を悪化させ、寿命を縮める行動を行うリスクのある個人を同定するために、パーソナリティ特性を用いることが可能なことを示した研究報告が増えつつあるが、本研究の結果はそのような報告を補強するものである。

Posted on 2015/01/30 Fri. 18:24 [edit]

category: 2015年1月号_Health Psychology誌

tag: パーソナリティ  保健行動 
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小児ではストレスが不健康な生活習慣の原因に  

Health Psychology誌(2015年1月)から

小児のストレスと生活習慣の長期的な関連

Longitudinal association between child stress and lifestyle

Michels N, et al.

Health Psychology, Vol 34(1), Jan 2015, 40-50.

原文はこちら


目的:
心理社会的ストレスは不健康な生活習慣と関連しているが、その関連の方向性に関しては不明なままである。

ストレスが、睡眠障害、やけ食い、身体活動の低下を引き起こすのだろうか? それとも、こういった不健康な生活習慣という要因がストレスを高めるのだろうか?

本研究では、小児を対象として、ストレスと生活習慣の関連を双方向で検討した。

方法:

5~12歳のベルギーの小児312名を対象として、ストレスと生活習慣の関連を2年間にわたって検討した。

本研究は、Children's Body Composition and Stress研究の一環として実施された。

ストレスに関連する側面は、ネガティブな出来事、ネガティブな情動、行動上の問題に関する質問票で測定した。

生活習慣の要因については以下の点を評価した。身体活動(加速度計により測定)、睡眠時間、食事(甘い食物、脂肪過多の食物、スナック、フルーツと野菜)、摂食行動(情動的摂食、外発的摂食、抑制的摂食)。

関連の双方向性に関してはcross-lagged analysisで検討した。

結果:

いくつかのストレスの側面が、身体活動、甘い食物の摂取、情動的摂食、抑制的摂食、外発的摂食を増加させていた(β=0.140~0.319)。

すべての関連は性別と年齢によって調整されていた。食事の影響は、主に最も年齢の高い小児と女児で認められた。

ストレスは、最も年齢の低い小児では身体活動を増加させていたが、最も年齢の高い小児では、身体活動を低下させている傾向が見られた。

逆方向の影響が認められたのは1つのみで、不健康な摂食行動が不安感情を高めていた。

結論:

関連は主に一方向性であり、ストレスが小児の生活習慣に影響を与えていた。

ストレスは、空腹感とは無関係の摂食を引き起こし、これが過体重を促進する可能性がある。

したがって、ストレスが小児の食生活に影響を与える可能性があること、そして問題を解決するコーピング・スキルを習得する必要があることを保護者は認識すべきである。

最近の報告とは対照的に、最も年齢の低い小児では、ストレスが身体活動を促進している可能性がある。これはポジティブなストレス・コーピング・スタイルと考えられる。

Posted on 2015/01/28 Wed. 21:00 [edit]

category: 2015年1月号_Health Psychology誌

tag: 小児  ストレス  生活習慣 
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股関節を骨折した高齢者の感情体験と身体機能の関連  

Health Psychology誌(2015年1月)から

股関節骨折からの短期の感情的な回復は抑うつと身体機能をプロスペクティブに予測

Short-term affective recovery from hip fracture prospectively predicts depression and physical functioning.

Langer JK, et al.

Health Psychology, Vol 34(1), Jan 2015, 30-39.

原文はこちら


目的:

本研究の目的は、股関節骨折後、数週間から数ヵ月にわたる平均的な感情体験を明らかにし、これらの体験が経時的に身体的および精神的健康の機能とどのように関連するかを評価することであった。

方法:

股関節骨折の手術後に募集した高齢者の標本(500例)と股関節を骨折していない対照群の高齢者(102例)で、ポジティブおよびネガティブな感情を1年間にわたり縦断的に評価した。

結果:

股関節を骨折した高齢者のほとんどで、ポジティブな感情は経時的に上昇し、ネガティブな感情は経時的に低下する傾向が見られた。このことから、ほとんどの高齢者は少なくともある程度は感情的に回復することが示唆される。

さらに、ネガティブな感情の低下が緩慢な高齢者ほど1年後の抑うつのレベルが高く、ポジティブな感情の上昇が顕著だった高齢者ほど1年後の身体機能が良好だった。

結論:

本研究により、股関節骨折から回復する最初の12週間のポジティブおよびネガティブな感情が、その後1年間の心理的および身体的な回復を最大化する介入の目標となり得るというエビデンスが示された。

Posted on 2015/01/26 Mon. 12:02 [edit]

category: 2015年1月号_Health Psychology誌

tag: 感情  うつ  身体機能 
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複雑な精神障害では短期の治療より長期の精神分析療法が効果的:新たなメタ解析の結果から  

Psychodynamic Psychiatry誌(2013年秋)から

長期の精神力動的治療に関する新たなエビデンス

The emerging evidence for long-term psychodynamic therapy

Leichsenring F, et al.

Psychodynamic Psychiatry: Vol. 41, No. 3, pp. 361-384.

原文はこちら


特定の精神障害における短期の精神力動的精神療法(STPP)と長期の精神力動的精神療法(LTPP)の有効性を支持する無作為比較試験(RCT)によるエビデンスが増加している。

最初の一連のメタ解析では、LTPPは、特に複雑な精神障害では短期の精神療法よりも優れることが示された。

しかし、このLTPPのエビデンスには異議が唱えられている。

この提起された懸念への取り組みが行われたが、その後Smitら(2012)による最近のメタ解析で、再びLTPPの有効性に異議が唱えられている。

方法:

方法論的な観点から、Smitらのメタ解析に対して批判的に解析した。

さらに、本研究では、これまでのメタ解析には含まれていなかった試験を追加して、新たに2つのメタ解析を行った。

本研究の目的は、これまでのメタ解析の結果が安定したものであるか否かについて検討することであった。

結果:

Smitらによるメタ解析では、実際のところ、異なる選択基準によって、LTPPと他のタイプの長期の精神療法が比較された。

したがって、Smitらが示した本質的なものは、LTPPの効果は、他のタイプの長期的な治療と同等であったということである。

そのため、Smitらによるメタ解析は、LTPPは短期の精神療法よりも優れることを示した過去のメタ解析の結果に異議を唱えるものではない。

また、Smitらのメタ解析では、いくつかの方法論的な欠点が認められた。

本研究で行った新たなメタ解析では、これまでの結果との有意な違いは見いだされなかった。

複雑な精神障害では、LTPPが短期の治療よりも有意に優れることが立証された。これは、これまでのメタ解析の結果を裏づけるものである。

結論:

量‐効果関係に関するデータから、慢性精神障害やパーソナリティ障害などの複雑な精神障害患者の多くでは、短期の精神療法では不十分であることが示唆される。

これらの患者には長期的な治療が適応されるだろう。

本研究のメタ解析は、複雑な精神障害患者においてLTPPをさらに支持するものであった。

それでもやはり、LTPPと他の長期的な精神療法に関してさらなる研究が必要とされる。

Posted on 2015/01/25 Sun. 01:50 [edit]

category: 精神分析の効果

tag: 精神療法  精神分析  メタ解析  治療効果 
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口腔保健に関する情報提供による介入が長期的な保健行動に影響  

Health Psychology誌(2015年1月)から

保健に関するメッセージの枠組み:アメリカ人の多様な標本における易罹病性の認知と動機の方向づけによる調整

Message framing for health: Moderation by perceived susceptibility and motivational orientation in a diverse sample of Americans.

Updegraff JA, et al.

Health Psychology, Vol 34(1), Jan 2015, 20-29.

原文はこちら


目的:

本研究では、口腔保健に関して利益または損失を示す枠組みで作成された情報提供ビデオが、6ヵ月間の自己報告によるデンタルフロスの使用にどのように影響を与えるか、またこの影響が調整される際に、口腔保健の問題への易罹病性(訳者注:病気へのかかりやすさ)の認知と動機の方向づけ(接近/回避)がどのような役割を果たすかについて検討した。

方法:

年齢と人種が多様な855名のアメリカ人の成人標本を、保健メッセージを提供しない群、あるいは利益を示すかまたは損失を示したビデオをインターネットで提供する群のいずれかに無作為化した。

自己報告によるデンタルフロスの使用は、縦断的に2ヵ月と6ヵ月に評価した。

結果:

標本全体で、易罹病性の認知は、デンタルフロス使用の予測に対してメッセージの枠組みと相互に影響し合っていた。

ビデオを視聴した参加者は、メッセージの枠組み(利益/損失)と易罹病性の認知(低/高)が一致していた場合に、一致していないビデオを視聴したか、全く視聴していない参加者よりも、追跡6ヵ月の時点で、推奨レベルでデンタルフロスを使用する可能性が有意に高まっていた。

一方、若年成人(18~24歳)は、易罹病性の認知よりも動機の方向づけによる調整が大きいことが示された。この結果は、主に若年成人の標本で実施された先行研究と一致していた。

結論:

簡便な情報提供による介入は、特に利益または損失といった情報提供の枠組みが、個人の健康アウトカムのリスクに関する考えと一致していた場合に、長期的な保健行動に影響を与える可能性がある。

Posted on 2015/01/23 Fri. 19:59 [edit]

category: 2015年1月号_Health Psychology誌

tag: 情報提供による介入  保健行動  保健メッセージ 
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長期の精神分析的精神療法の効果は限定的:無作為化試験のメタ解析の結果から  

Clinical Psychology Review誌(2012年3月)から

長期の精神分析的精神療法の効果-無作為比較試験のメタ解析

The effectiveness of long-term psychoanalytic psychotherapy-a meta-analysis of randomized controlled trials

Smit Y, et al.

Clinical Psychology Review Volume 32, Issue 2, March 2012, Pages 81-92

原文はこちら

精神分析療法および長期の精神分析的精神療法(LTPP)の効果に関しては議論の余地がある。

本研究では、明確に定義した精神障害患者において、他の治療法または無治療と比較して、LTPPの効果を評価した。

LTPPに関する無作為比較試験または準無作為比較試験を選択した。

2名の著者が独立して、解析対象とする試験を同定した。

11件の試験が適格だった。

利用可能な最長の追跡時点での回復(主要アウトカム)のリスク差は0.00(95%信頼区間[CI]:-0.17~0.17、p=0.96、I2乗:58%)だった。

統合したHedges' g(各試験の最長の追跡時点での)は以下のとおりであった。

治療の対象とした問題では-0.05(95%CI:-0.55~0.46、p=0.86、I2乗=88%)、

全般的な精神医学的症状では0.69(95%CI:-0.19~1.57、p=0.13、I2乗=96%)、

パーソナリティの病理では0.17(95%CI:-0.25~0.59、p=0.42、I2乗=41%)、

社会的機能では0.20(95%CI:-0.10~0.50、p=0.19、I2乗=53%)、

全体の効果では0.33(95%CI:-0.31~0.96、p=0.32、I2乗=94%)、

QOLでは-0.37(95%CI:-0.78~0.04、p=0.08、I2乗=55%)。

この領域の対象とした問題に関するサブグループ解析では、専門的な精神療法の構成要素のない対照治療と比較した場合には、LTPPの方が有意に良好であることが示されたが、様々な専門的な精神療法による対照治療と比較した場合には示されなかった。

探索的なメタ回帰により、介入群と対照群での治療強度の違い(面接回数の比[session ratio])と効果量に関連性のあることが示唆された。

以上のことから、様々な精神障害の回復率は、LTPPまたは通常治療を含めた様々な対照治療で同等であるという結論が下される。

個々の試験の効果量は、方向や大きさの点で大幅に異なっていた。

これまでのレビューとは対照的に、LTPPの効果は限られたもので、よくても矛盾が見られるというエビデンスが認められた。

要点

◆長期の精神分析的精神療法(LTPP)の効果に関しては議論の余地がある。

◆最近の2件のメタ解析では、LTPPの効果が実証されたと報告されている。

◆今回のメタ解析では、回復率はLTPPと対照治療で同等だった。

◆本研究では、LTPPの効果は限られたもので、矛盾が認められるというエビデンスが見いだされた。


Posted on 2015/01/23 Fri. 00:16 [edit]

category: 精神分析の効果

tag: 精神療法  精神分析  メタ解析  治療効果 
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長期の精神力動的精神療法は複雑な精神障害の治療に効果あり:メタ解析の結果から  

JAMA誌(2008年10月)から

長期の精神力動的精神療法の効果:メタ解析

Effectiveness of long-term psychodynamic psychotherapy: a meta-analysis

Leichsenring F, Rabung S.

JAMA. 2008 Oct 1;300(13):1551-65.

原文はこちら


背景:

精神医学での長期の精神力動的精神療法(LTPP)の位置づけに関しては議論の余地がある。

LTPPに関する説得力のあるアウトカム研究が不足している。

目的:

本研究では、メタ解析を用いて、特に複雑な精神障害(complex mental disorders)、例えば、パーソナリティ障害、慢性精神障害、複数の精神障害(multiple mental disorders)、抑うつおよび不安障害の複合(すなわち慢性の経過および/または複数の精神障害を伴うもの)において、LTPPの効果を検討することを目的とした。

データ・ソース:

1960年1月1日~2008年5月31日までに発表されたLTPPの試験を、MEDLINE、PsycINFO、Current Contentsを用いて、コンピュータ処理による検索によって同定した。また、この分野の専門家と連絡をとることで補足した。

試験の選択:

最低でも1年間継続するか、面接回数が50回以上の個人を対象とした精神力動的精神療法を用いて、プロスペクティブな試験デザインで実施され、信頼性が高いアウトカムが報告された試験のみを対象とした。

無作為比較試験(RCT)と観察研究を検討の対象とした。

計1053例の患者を対象とした23件の試験が選択された(11件のRCTと12件の観察研究)。

データ抽出:

試験の特徴と治療アウトカムに関する情報は、2名の独立した評価者が抽出した。

効果量は、全体の効果、治療の対象とした問題、全般的な精神医学的症状、パーソナリティ機能、社会的機能に関して算出した。

アウトカムの安定性を検討するために、効果量は、治療終了と追跡評価の2つの時点で別々に算出した。

結果:

対照試験の比較分析を行ったところ、LTPPは、全体の効果、治療の対象とした問題、パーソナリティ機能において短期の精神療法よりもアウトカムが有意に良好だった。

全体の効果では、群間の効果量が1.8(95%信頼区間:0.7~3.4)であった。これは、LTPPによる治療後、複雑な精神障害患者は、平均すると対照群の患者の96%よりもアウトカムが良好であったことを示すものである(P=0.002)。

サブグループ解析を行ったところ、LTPPでは、多様で特に複雑な精神障害全体で、有意かつ大きく、安定した群内の効果量が得られた(範囲:0.78~1.98)。

結論:

LTPPは複雑な精神障害の効果的な治療法であるというエビデンスが認められた。

さらなる研究では、特定の精神障害におけるLTPPのアウトカムについて検討し、また費用効果分析を含める必要がある。


Posted on 2015/01/22 Thu. 23:15 [edit]

category: 精神分析の効果

tag: 精神療法  精神分析  メタ解析  治療効果 
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身体活動を促すメッセージは効果的か?  

Health Psychology誌(2015年1月)から

熟慮と衝動のプロセスが身体活動を促すメッセージの効果を説明:無作為比較試験

Reflective and impulsive processes explain (in)effectiveness of messages promoting physical activity: A randomized controlled trial.

Cheval B, et al.

Health Psychology, Vol 34(1), Jan 2015, 10-19.

原文はこちら


目的:

本研究では、身体活動(PA)を促すメッセージを提供する際に、PAにおける熟慮と衝動のプロセスを考慮に入れることが、行動変容に効果的な提示方法や対象者の解明に有用かどうかを検証した。

方法:

参加者(101名)に、PA(実験条件)または健康的な食事(対照条件)を促す説得的なメッセージを提供した。

身体活動に対する熟慮は、ベースラインとメッセージへの曝露後の両時点で評価した。

PAに衝動的に接近する傾向(IAPA: impulsive approach tendencies toward PA)と座りがちな行動に衝動的に接近する傾向(IASB: Impulsive approach tendencies toward sedentary behaviors)は、manikin taskを用いて評価した。

主要な結果変数は、メッセージへの曝露後1週間の中等度~強度の身体活動(MVPA: moderate to vigorous physical activity)中に加速度計で評価した自由時間とした。

結果:

PAを促すメッセージにMVPAに対する直接的な効果は認められなかったが、以下の結果が示された。

(a)メッセージにより、特にベースライン時の意思が低~中等度の(高くない)参加者で、PAを実行しようとする意思が高まっていた。

(b)メッセージ後のPAへの意思とIAPAは、客観的なMVPAの正の予測因子であり、IASBは負の予測因子であった。

(c)IASBが低~中等度の(高くない)個人では、メッセージ後のPAへの意思がMVPAを予測していた。

追跡でのmoderated mediation analysisでは、以上の早期の結果が確認され、PAを促すメッセージは、ベースラインの意思が低~中等度で、IASBが低~中等度の参加者でのみ、メッセージ後の意思を介してMVPAの正の予測因子となることが示された。

結論:

本研究では、2つの境界条件を特定することによって、PAを促すメッセージが、客観的なMVPAの予測に効果的な場合とそうでない場合を明らかにする重要な知見が得られた。

Posted on 2015/01/22 Thu. 01:29 [edit]

category: 2015年1月号_Health Psychology誌

tag: 身体活動  情報提供による介入  無作為化試験  保健行動  保健メッセージ 
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青年期前期における社会経済的地位と肥満の関連  

Health Psychology誌(2015年1月)から

多様な青年期前期集団における社会経済的地位と肥満との関連:人種/民族と性別での相違。

Associations between socioeconomic status and obesity in diverse, young adolescents: Variation across race/ethnicity and gender.

Fradkin C, et al.

Health Psychology, Vol 34(1), Jan 2015, 1-9.

原文はこちら


目的:

本研究では、10~13歳の青年期前期における社会経済的地位(SES)と肥満リスクとの関連、ならびにこの関連が青年期前期の2つの時点で、異なる人種/民族および性別でも認められるかどうかを検討した。

方法:

データはHealthy Passages研究から収集した。

Healthy Passages研究は、集団ベースで4,824名のアフリカ系アメリカ人、ヒスパニック系、白人の5年生(年齢:10~11歳)を登録し、米国の3つの大都市圏で実施した縦断的研究である。2年後に再評価が行われた。

体重の分類には標準的な基準によるBMIの測定値を用いて、非肥満と肥満(5年生の27%)に分類した。

SESは、児童の家庭で最も高い教育水準に基づいた。

結果:

人種/民族を解析に含めなかった場合、SESが最も高い児童では、5年生と7年生の両時点で、SESが低い児童よりも肥満の割合が有意に低かった。

人種/民族を含めた解析では、同様の結果がヒスパニック系と白人集団でほぼ確認されたが、アフリカ系アメリカ人では認められなかった。

また性別を解析に含めた場合、白人の女児と5年生のヒスパニック系の男児で肥満リスクにおけるSESに顕著な違いが認められた。

結論:

SESが高い(家族成員の1人が最低でも大卒者である)家庭で育つことは、ヒスパニック系および白人の青年集団では、肥満リスクの低さと関連している。

アフリカ系アメリカ人の青年では、SESと肥満との関連は認められないようである。

したがって、通常、高いSESに起因する健康上の利点は、青年の肥満においては、人種/民族全体にわたって一貫して認められるものではないと考えられる。

さらなる研究によって、特にアフリカ系アメリカ人の青年を対象に、SES以外の体重に対する影響因子を同定すべきである。


Posted on 2015/01/20 Tue. 20:26 [edit]

category: 2015年1月号_Health Psychology誌

tag: 青年  肥満 
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アドバイスの罠  

「とにかくこうしなさい!」というアドバイスの罠:なぜ相談番組の「ドクター」はほとんど役に立たないのか。

「ドクター」は、なぜ相談者の問題を解決できないのか。

Scientific American Mind誌2010年9月/10月号から

2010年8月19日

ハル・アルコビッツ(アリゾナ大学心理学教授)、スコット・O・リリエンフェルド(エモリー大学心理学教授)

原文はこちら

結婚生活14年の女性がドクター・ローラのラジオ相談番組に電話をかけてきた。

その女性は、最近になって夫を愛していないことに気づき、夫にそのことを話した、とドクター・ローラに語った。

このケースを記録したYouTubeの動画を見ると、夫婦は結婚カウンセリングを受けていたが、ドクター・ローラは、あなたがそのような態度なら、カウンセリングは役に立たないと伝えた。

会話は次のように続く。

ドクター・ローラ:「何かご質問がありますか?」

相談者:「何かアドバイスをいただけますか? 私はどうしたら・・・?」

ドクター・ローラ(さえぎって):「遅いわよ。もう遅いの。あなたは冷酷よ」

相談者:「その時は・・・」

ドクター・ローラ(再びさえぎって):「毎日ただひたすら思いやりを示して、彼に償おうとしなさい。たぶん、あなたは、私が思うに他者に同情する部分がちょうど壊れているんでしょうね」

2009年4月1日から始まったドクター・フィルのテレビ番組での相談者は、子どもに対して強い怒りを感じて、時に子どもを叩いてしまうために助けを求めていた。

ドクター・フィルは、この相談者にこうアドバイスしている。

「あなたは叩くのをやめられますよ。
他の人のためなんだから、やめられます・・・。
やめたくないわけじゃないでしょう。
あなたは、やめないだけなんですよ・・・」

ドクター・ローラ・シュレシンジャーとドクター・フィル・マグローの番組に参加する人達は、様々な個人的な問題で援助を求めている。そして、2人は多くの人にアドバイスする。

今年前半、ドクター・ローラの視聴者参加番組は、週に900万人以上が聞いていた。

同じ時期、ドクター・フィルの番組は、1回の放送につき約400万人が視聴していた。

2人とも心理療法を行っているとは公言していない。

おまけに、シュレシンジャーとマグローの個人の問題に関する典型的な意見は、心理学の研究知見の多くと食い違っている。そうなると、2人の忠告は、ほとんどの場合、効果がなさそうであり、また損害を与える可能性すらあると思われる。

シュレシンジャーは、結婚・子ども・家族カウンセリングの分野でカリフォルニア州の資格をもっているが、彼女の博士号(ドクター)は、生理学のもので、心理学のものではない。

そのため、「ドクター」を使うことは、シュレシンジャーが個人にアドバイスを提供する資格としての「博士号(ドクター)」を持っているという誤解を与えることになる。

マグローは心理学の博士号をもっており、2006年まではテキサス州の心理学の資格をもっていた。しかし、2006年に彼の資格の期限は切れている。

相談者を非難すること

マグローもシュレシンジャーも、個人の責任を強調するのが正しいと考え、問題の原因が他にあるとは考えない。

さらに、彼らは、ほとんどの場合、極端なまでに個人の責任にする。

心理的な問題には遺伝子の構造、生い立ち、現在の状況といった要因がかなり影響しているのは事実である。しかし、こういう彼らの態度は、そういった場合でも、人間は自分の問題のすべてに責任がある、と言っているようである。

何にもまして個人でコントロールすることを強調すると、人間は、自分以外の問題や状況について詳しく考えてみようとしなくなる。

しかし、自分以外の問題や状況が、自分の抱えている問題に関係していて、対処する必要があるかもしれないのだ。

シュレシンジャーとマグローのやり方には他にも欠点がある。

それは共感がないことである。共感とは、相手の立場から、その人の考えや感情、困難さを理解しようとする気持ちである。

シュレシンジャーは、だいたいにおいて相談者と数分しか話さない。さらに、相談者の話をさえぎることが多く、相談者の行動に対して、軽蔑的な「ばか」というような言葉を使うこともある。

彼女の強い言い回しのアドバイスは、多くの場合、彼女自身の社会的に保守的な意見や宗教的な考えによるもので、相談者が直面している個別の問題のほとんどを無視していることが多い。

マグローは、相談者の話を聞くことに、シュレシンジャーよりも多少時間をかけることが多いが、どちらかといえば相談者の問題の原因とその解決についてすぐに結論を下してしまう。それは人生の複雑さへの認識がほとんどないように見える。

最近の研究では、心理社会的な問題を抱える個人を援助しようとする時に、共感の欠如が障害となることが示されている。

心理学者のアーサー・ボハート(当時カリフォルニア州立大学所属)とドミンガス・ヒルズらは、数多くの研究を定量的にレビューした2002年の論文で、治療者の高い共感性と担当患者の良好な結果には関連性があることを報告している。

精神科医デイビッド・バーンズ(当時ペンシルバニア大学医学大学院)らの1992年の研究では、原因と結果を識別するために高度な統計的手法が用いられ、治療者の共感能力は患者の経過と関連するだけでなく、患者の経過の一因となることが示されている。(訳者注:以下にこの論文のabstractの一部の和訳を記載)

共感は、心理療法の基礎をなすものである。

治療者が適切で役に立つ指導を提供するためには共感が必要となるし、患者が本当に理解されたという気持ちになることが効果をもたらすのである。

抵抗を生みだすもの

シュレシンジャーとマグローは、相談者を理解しようとしないで、対決的で指示的な態度をとることが多い。

彼らは、指示について相談者からほとんど意見を聞くことなしに、相談者がすべきこと、すべきでないことを命令するような態度で相談者に告げる。

例えば、ドクター・フィルは、2人の子どものいる30歳の女性と付き合い始めてすぐに結婚しようと考えている19歳の青年にこう話した。

「君は、絶対に、明らかに、結婚すべきではない!」

どれほど多くの視聴者がこれに賛成しようとも、数多くの研究で、治療者の指示的な態度によって、多くの患者が自分の意見に固執するようになり、そのために状況や心理的な問題が悪化する可能性すらあることが明らかにされている。

オレゴン社会学習センターの心理学者ジェラルド・パターソンとマリオン・フォーガッチは、1985年に以下のような結論を下している。

扱いの難しい子どもへの対応を母親に指導している場合、治療者が指示的な態度をとると、穏やかに励ましたり、「子どもは変わることができる」と子どもの能力に対して信頼を示すような支持的なアプローチを行った場合よりも母親は強い抵抗を示すようになる。

ニューメキシコ大学の心理学者ウィリアム・R・ミラーらの1993年の研究では、アルコール依存症の治療で、治療者が指示的で対決的な言い方をすればするほど、患者は強く抵抗するようになることが明らかにされている。

さらに、治療者が指示的であればあるほど、治療から1年後に患者が飲酒することが多くなることも示された。

ほとんどの臨床心理士は、単に患者に問題行動をやめるように言っても、ほとんど効果がないことを知っている。

実際に、シュレシンジャーやマグローのアドバイスから恩恵を受けた相談者がいたことを示すデータはない。

この2人に相談した人達の追跡調査を研究文献やインターネットで徹底的に検索したが、公式にせよ非公式にせよ1件も発見することができなかった。

シュレシンジャーやマグローが行っている相談には裏づけがない。そのため、我々は、この2人の有名人が相談者に損害をもたらしていないことを実証する必要がある、と考えている。

この2人が行うことを「娯楽」または「教育」とみなしたとしても、この必要性がなくなるわけではない。

両番組とも、メンタルヘルスの専門家が相談者を理解し、援助する方法を間違った形で伝えている。

ほとんどの心理的な問題は、単に自分でコントロールができないせいではなく、簡単な指示で変えられるものでもない。

シュレシンジャーやマグローができると信じていることによって、数百万もの人々が、自分の抱える問題の生物的、社会的な重要な原因を無視するようになり、自分自身にとっても他者にとっても効果的な治療を求めることができなくなるのである。


デイビッド・バーンズらの1992年の研究 Abstractの一部和訳

Therapeutic empathy and recovery from depression in cognitive-behavioral therapy: A structural equation model.
Burns, David D.; Nolen-Hoeksema, Susan
Journal of Consulting and Clinical Psychology, Vol 60(3), Jun 1992, 441-449.

認知行動療法における治療的な共感と抑うつからの回復:構造方程式モデル

原文はこちら

本研究では、治療的な共感には、抑うつからの回復に対して中程度以上の高い因果効果があることが、認知行動療法(CBT)で治療した185例の患者集団で実証された。

同時に、治療的な共感に対する抑うつの重症度の互恵的効果を推定したところ、この効果は非常に小さいことが示された。

さらに、治療共感の効果に加えて、ホームワークのコンプライアンスには臨床的な回復に対して独立した効果があることが認められた。

治療的な共感とホームワークのコンプライアンスを補正した場合、初心者の治療者が担当した患者は、経験を積んだ治療者が担当した患者よりも有意に改善度が低かった。

Posted on 2015/01/19 Mon. 21:11 [edit]

category: Scientific American Mind

tag: 精神療法 
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アルコホーリクス・アノニマス(AA)の効果は系統的レビューでは実証されず  

Cochrane Libraryの系統的レビューの結果から(2006年7月19日発表)

アルコール依存に対するアルコホーリクス・アノニマスなどによる12ステップ・プログラム

Alcoholics Anonymous and other 12-step programmes for alcohol dependence

Marica Ferri, Laura Amato, Marina Davoli

原文はこちら

背景

アルコホーリクス・アノニマス(AA)は、回復過程にあるアルコール依存症患者の国際的な組織であり、アルコール依存からの回復過程にある患者に対して、12ステップ・アプローチを用いて、自助グループによる心理的なサポートや断酒のモデルを提供している。

12ステップ・アプローチは最も一般的なものであるが、AAが12ステップによる介入を利用できる唯一の組織ではなく、他にも12ステップ・アプローチがある。これは12ステップ促進療法(TSF: Twelve Step Facilitation)と呼ばれている。

目的

他の心理社会的介入と比較して、AAまたはTSFプログラムのアルコール摂取量の低下、断酒の達成、断酒の維持、アルコール依存の悪影響を蒙った個人や患者家族のQOLの改善、アルコールに関連する事故や健康問題の抑制における効果を評価すること。

検索方法

文献の検索にあたっては、Specialized Register of Trials of the Cochrane Group on Drugs and Alcohol、Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL)、1966年以降のMEDLINE、1980年以降のEMBASE、1982年以降のCINAHL、1967年以降のPsychINFOを用いた。

検索は2005年2月に更新した。

また、関連する試験を確認するために参考文献リストを調査した。

選択基準

基礎的なAAまたはTSFプログラムに自主的または強制的に参加しているアルコール依存の成人患者男女(18歳超)を対象として、無治療、他の心理学的介入、他のタイプの12ステップ・アプローチと比較した試験。

データ収集と解析

1人の評価者(Marica Ferri)が、選択した試験を評価し、事前に決定したデータ抽出形式を用いてデータを抽出した。

方法論的な質に関して試験を評価し、評価者全員で議論した。

主な結果

8件の試験、3417例の患者を対象とした。

AAは、他の治療法よりも、患者が治療を受け入れ、維持する一助となる可能性がある。しかし、これを支持するエビデンスは、AAと他の介入を併用した小規模な1件の試験から得られたものであるため、決定的な結論とみなすべきではない。

他の試験でも、治療群に関係なく、同様の維持率が報告されている。

3件の試験では、他の介入と併用したAAとそれ以外の治療法が比較されたが、飲酒量と飲酒日の割合にわずかな差しか見られなかった。

依存の重症度と飲酒の結果に対する影響にTSFと比較対照とした治療介入法に違いがあるとは考えられず、治療の脱落率に決定的な群間差は認められなかった。

レビューの対象とした試験では、完全な断酒の促進においてTSFの効果を明確に評価することができなかった。

著者らの結論

アルコール依存またはアルコールの問題の抑制において、AAまたはTSFアプローチの効果を明白に実証した試験はなかった。

1件の大規模な試験では、介入自体の効果というよりは、介入の成功と関連する予測因子に焦点を合わせていた。したがって、さらに有効性の検証が必要である。

一般向けの要約

アルコホーリクス・アノニマス(AA)は自助グループであり、回復過程にあるアルコール依存患者の国際的な組織である。AAは、12ステップ・アプローチを用いて、アルコール依存からの回復過程にある患者に心理的なサポートと断酒のモデルを提供している。

AAと同様に、12ステップ・プログラムに基づく他のタイプの介入もある。それは自助グループによるものもあれば、専門家が指導するものもある。

AAでも他の12ステップ・アプローチでも、一般的に、物質依存は精神的(spiritual)な問題であり、また医学的な疾患でもあるという仮定に基づいている。

利用可能な実証的試験では、アルコール摂取の抑制や断酒の達成において、他の治療法と比較した場合のAAまたは他の12ステップ・アプローチの効果は実証されなかった。しかし、レビューの対象とした試験にはいくつかの限界があった。

さらにまた、同じ試験で多くの異なる介入が比較されていることが多く、治療の成功を左右する要因を特定するために非常に多くの仮説が同時に検証されていた。

Posted on 2015/01/16 Fri. 03:51 [edit]

category: アルコール依存

tag: アルコール依存  AA 
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アルコホーリクス・アノニマス(AA)は効果的か?  

アルコホーリクス・アノニマス(AA)は効果的か?
アルコール依存症患者の一部にはとりあえず効果的かもしれない。

Scientific American Mind誌2011年3月/4月号から

2011年2月17日

スコット・O・リリエンフェルト、ハル・アルコビッツ

原文はこちら

アルコホーリクス・アノニマス(AA:Alcoholics Anonymous)は、今年(2011年)76周年を迎えた。世界中に約11万5000のグループがあり、200万人が参加している。このグループの約半数は米国にある。

AAにはどのくらい効果があるのだろうか?

人類学者のウィリアム・マドセン(当時カリフォルニア大学サンタバーバラ校に所属)は、1974年の著書で、AAには「ほぼ奇跡的な」成功率が認められるが、他の治療法はもっと疑問が残るものであると述べた。

この著書を再検討すると、AAは、一部の患者で、特に専門家の援助を受けた場合に、アルコール依存症の克服に役立つ可能性があるが、効果があるとするエビデンスはそれほど確かなものではなく、それはAAのプログラムの特徴によるものだということが明らかとなった。

AAは、1935年、オハイオ州アクロンでビジネスマンのビル・ウィルソンと医師のボブ・スミスが出会ったことから始まった。

「ビル・W」と「ドクター・ボブ」として知られるこの2人は、アルコール依存症患者であった。ビルは、キリスト教の運動を通して断酒にほぼ成功した。ボブはビルに出会った後、彼の成功に影響を受けて、飲酒を止めた。

2人は、他のアルコール依存症患者を助けようと決意し、その後すぐに「The Big Book」と呼ばれるようになる著書を出版した。これはAAの哲学、主義、方法を説明したもので、今では有名となった12のステップについての説明も含まれていた。この著書の正式なタイトルはAlcoholics Anonymousで、これは後に発展していったこの組織の名称にもなった。

AAでは、グループのメンバーが互いに断酒を達成、維持できるのを助けるためにミーティングを行う。

このミーティングは、本気で飲酒を止めようとしている人なら誰にでも無料で開放されている。

ミーティングでは、The Big Bookを読む、病歴について話し合う、メンバーの断酒を祝う、12ステップや飲酒問題に関連するテーマについて話し合うといったことが行われる。

参加者は、12ステップのプログラムに「取り組む」よう励まされ、次の段階に進む前に、生活の中に各ステップを十分に取り入れられるようにする。

AAが対象とするのは問題のある飲酒だけではない。メンバーが性格のあらゆる短所を修正し、新しい生き方ができるようになることを前提としている。彼らは、専門家の援助なしでこの難しい目標を達成しなければならない。

治療の専門家、心理学者、医師は、飲酒の問題を抱えていないのならば、AAのミーティングに参加することはない。


断酒(abstinence)のA?

AAの効果を評価した研究のほとんどで明確な結論は出されていない。

ほとんどの場合、こういった研究では参加期間と断酒の成功を関連させるが、それはAAのプログラムによって断酒が達成されたことを示しているわけではない。

この問題の一部は、AAの特徴(AAのミーティング中に起こる現象は非常に多様である)から生じるものである。

さらに、AAメンバーの約40%は、1年目に脱落することから(一部のメンバーは復帰する可能性があるが)、継続して参加する個人は、改善への動機づけが最も高い人達であるという可能性がある。

それでも、1997年に報告されたProject Matchと呼ばれる1件の適切に計画された研究の結果から、AAは、多くのアルコール依存症患者で断酒を促進する可能性があることが示唆されている。

この研究は著名なアルコール依存症の研究者のグループが行ったもので、3つの治療法のうち、いずれか1つの治療を12週間にわたって受ける群に900人以上の問題のある飲酒者を無作為に割り付けた。

1つめの治療は、12ステップ促進療法(12-step facilitation therapy)と呼ばれるAAに基づいた治療だった。この治療には、専門家との面接が含まれており、専門家は、患者が12ステップの最初のいくつかのステップに取り組めるよう援助し、AAのミーティングに参加するよう励ました。

2つめの治療は、認知行動療法だった。この治療では、再発の引き金となりやすい状況にうまく対処するスキルを教える。

3つめは、動機づけ強化療法(motivational enhancement therapy)だった。これは問題のある飲酒を止める動機づけを強化することを目的とした治療法である。

AAに基づいたアプローチは効果的と思われ、他の治療法と比べても引けを取らなかった。

3つの治療群すべてで、治療開始前の断酒日の割合は年間で平均して約20%だったが、治療終了後には、断酒日の割合が約80%まで上昇していた。

さらに、これらの患者の19%は12ヵ月の追跡期間の最初から最後まで完全に酒を断っていた。

しかし、この研究では無治療群が設定されていなかったため、患者が援助を受けずに断酒を試みる場合よりも効果が高い治療法はどれかという点に関しては明らかにされていない。

他の研究では、AAは、援助を受けない場合よりもやや効果的だったことが示されている。

2006年、退役軍人省およびスタンフォード大学の心理学者ルドルフ・H・モースとバーニス・S・モースは、アルコール依存症患者を対象とした16年にわたる研究の結果を報告した。この患者らは、自力で断酒しようと試みていたか、AAあるいは専門家の治療、場合によっては両者の援助を求めていた。

1年目にAAのミーティングに27週以上参加した患者のうち、67%が16年の追跡期間中に断酒していた。一方、AAに参加しなかった患者で断酒できていた者は34%だった。

同じ1年目に専門家の治療を受けた患者のうち56%が断酒を達成しており、治療を受けていなかった患者で断酒できていた者は39%だった。このことから、専門家の治療を受けることも有益であることが示唆される。

しかし、この結果は、アルコール依存症患者やAAプログラムのすべてに当てはまるわけではない。

この研究は「自然主義的」、つまり研究の一部としてではなく、患者が自分で治療法を選んだため、研究者らは、ミーティングや治療を厳密にコントロールできなかった。

さらに、この研究では、初めて援助を求めた患者を選択し、過去に援助を求めたことのある患者は除外したために、報告された断酒率は、あまり重症ではないアルコール依存症患者にしか当てはまらない可能性がある。

様々な研究により、専門家による治療とAAを併用すると、それぞれのアプローチ単独の場合よりも好ましい結果が得られることが示されている。


前向きな併用

データ全体を踏まえると、AAは、特に専門家による治療と併用した場合、アルコール依存症患者の多くに有用な可能性があると思われる。

しかし、AAに有害な場合があるかどうかに関しては分かっていない。グループが非常に対立的な場合、例えば、アルコール依存症患者は、変化に抵抗するようになる可能性がある。

それにもかかわらず、AAを支持するエビデンスがあること、ミーティングに参加しやすいこと、参加費が無料であることを踏まえると、AAは、多くのアルコール依存症患者にとって考慮に値する援助方法といえる。

著者紹介

ハル・アルコビッツとスコット・O・リリエンフェルトは、Scientific American Mind誌の顧問を務めている。
アルコビッツは、アリゾナ大学の心理学教授、リリエンフェルトはエモリー大学の心理学教授である。
このコラムの執筆にあたっては、ニューメキシコ大学のウィリアム・R・ミラー、スタンフォード大学のルドルフ・モースの助言を受けた。

参考文献

Matching Alcoholism Treatments to Client Heterogeneity: Project MATCH Posttreatment Drinking Outcomes.
Project Match Research Group
Journal of Studies on Alcohol, Vol. 58, pages 7-29; 1997.

アルコール依存症の治療法と患者の多様な特性とのマッチング:Project MATCHにおける治療後の飲酒行動の転帰

Abstract

原文はこちら

目的:

患者の様々な特性によって、3つの異なる治療法とアルコール依存症患者をマッチングさせた場合のベネフィットを評価すること。

方法:

2件の無作為化試験を平行して、それぞれ独立して行った。1件の試験は、外来治療を受けているアルコール依存症患者を対象とし(952例、72%が男性)、もう1件は、入院またはデイホスピタルの治療後にアフターケア治療を受けているクライアントを対象とした(774例、80%が男性)。

マニュアルに従った3つの個人治療のうち1つに患者を無作為に割り付け、12週にわたって治療した。

3つの治療法は、認知行動的コーピング・スキル療法(cognitive behavioral coping skills therapy)、動機づけ強化療法(motivational enhancement therapy)、12ステップ促進療法(twelve-step facilitation therapy)だった。

治療後、患者を1年にわたって追跡した。

治療に対する反応の個人差は潜在成長モデルで解析し、10個の主なマッチング変数と事前に設定した16の治療間の差異について評価した。

主要評価項目は、治療後1年間の断酒日の割合と飲酒日の飲酒量だった。

結果:

患者は、提供した治療セッションの平均して3分の2に参加していたことから、量的な面では十分な治療が行われたことが示唆される。追跡率は、治療後1年の評価で面接した生存患者で90%を超えていた。

今回の試験では、明確に定義した心理社会的な個人治療を行ったが、その3群すべてで、ベースラインから治療後1年までに飲酒における顕著かつ持続した改善が達成されていた。

結果に治療のタイプによる差はほとんど認められなかった。

治療との交互作用で有意が認められた特性は、精神医学的な重症度のみだった。

外来患者の試験で、精神医学的な重症度が軽度な患者では、認知行動療法よりも12ステップ促進療法の方が治療後の断酒日が多かった。

精神医学的な重症度が重度な患者では、どの治療法にも明白な優越性は認められなかった。

それ以外に2つの特性(外来患者での動機づけとアフターケア患者での意義の追求)に時間依存的なマッチング効果が示された。

動機づけのレディネス、飲酒に対するネットワーク・サポート、アルコールへの依存度、ジェンダー、精神医学的な重症度、反社会性といった患者の特性が、経時的に飲酒の転帰を予測する因子であった。

結論:

本試験の結果から、外来治療を患者に提供する際には、精神医学的な重症度を考慮すべきことが示唆された。

他の特性には頑健なマッチング効果が認められないことから、医療提供者は、今回の試験で実施した3つの個人治療のアプローチのどれかに患者を選別する際に、治療方針に違いがあっても、精神医学的な重症度以外の患者特性を考慮する必要はないことが示唆される。


Participation in Treatment and Alcoholics Anonymous: A 16-Year Follow-Up of Initially Untreated Individuals.
Rudolf H. Moos and Bernice S. Moos
Journal of Clinical Psychology, Vol. 62, No. 6, pages 735-750; June 2006.

治療とアルコホーリクス・アノニマスへの参加:未治療患者の16年間の追跡調査

Abstract

原文はこちら

本研究では、未治療のアルコール使用障害患者を対象に、専門的な治療とアルコホーリクス・アノニマス(AA)への参加期間に着目した。

ベースライン、1年、3年、8年、16年後に追跡調査を行った。

未治療のままの患者と比較したところ、援助を求めた最初の1年に27週以上の専門的な治療を受けた個人では16年後のアルコールに関連した転帰が良好であった。

同様に、27週以上AAに参加した患者は16年後の転帰が良好であった。

その後もAAへの参加を継続することは、より良好な16年後の転帰と関連していたが、専門的な治療の継続では関連は見られなかった。

治療とアルコールに関連した長期的な転帰との関連には、AAへの参加が影響を与えていると思われる。


Alcoholics Anonymous Effectiveness: Faith Meets Science.
Lee Ann Kaskutas
Journal of Addictive Diseases, Vol. 28, No.2, pages 147-157; 2009.

アルコホーリクス・アノニマスの効果:信仰と科学の出会い

Abstract

原文はこちら

アルコホーリクス・アノニマス(AA)の効果に関する研究には議論の余地があり、その解釈は著しく多様である。

本論文の目的は、AAの効果に関する文献に焦点を合わせ、AAの効果に関するエビデンスを評価できるようなレビューを報告することである。

本レビューでは、因果関係を確立するために必要な以下の6つの基準に従って、AAの効果に関する研究をまとめた。
(1)効果の大きさ、
(2)用量反応効果、
(3)一貫した効果、
(4)時間的に的確な効果、
(5)特異的な効果、
(6)妥当性。

基準1~4と6のエビデンスは有力だった。

断酒率は、AAの参加者でほぼ2倍高い(基準1:効果の大きさ)。

出席率の高さは、断酒率の高さと関連する(基準2:用量反応効果)。

このような関係は、標本や追跡期間が異なっても認められる(基準3:一貫した効果)。

AAへの出席率は、その後の断酒を予測する(基準4:時間的に的確な効果)。

行動変容の理論によって予測される作用機序がAAに認められる(基準6:妥当性)。

しかし、AAまたは12ステップ促進療法(TSF: Twelve Step Facilitation)の効果の特異性を立証するための厳密な実験に基づくエビデンス(基準5)は曖昧だった。

2件の試験ではAAのポジティブな効果が見いだされ、1件の試験ではAAのネガティブな作用が見られ、1件の試験では効果が認められなかった。

統計的手法を用いて特異性にアプローチした研究では、2つの矛盾した結果が認められている。

2件の研究では、変化への動機づけといった潜在的な交絡因子を補正した後にAAの有意な効果が報告されている。




Posted on 2015/01/08 Thu. 05:47 [edit]

category: アルコール依存

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