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うつ病の治療に家族療法は有効か?  


Cochrane Libraryの系統的レビューの結果から(2007年7月18日発表)

うつ病における家族療法

Family therapy for depression

Tamara Henken, et al.


原文はこちら


背景:

うつ病患者は、対人関係の問題を抱えていることが多い。。

家族療法はうつ病に対する介入として広く用いられているが、うつ病治療に効果的な治療法であるかどうかは不明である。

目的:

うつ病に対する家族療法の有効性を評価すること。

検索方法:

以下の電子データベースを特別な検索戦略を用いて検索した。CCDANCTR-StudiesとCCDANCTR-References(2005年10月21日に検索)、The Cochrane Central Register of Controlled Trials、Medline(1966年~2005年1月)、EMBASE(1980年~2005年1月)、Psycinfo(1974年~2005年1月)。

また、論文の参考文献リストも検索した。

関連する学術誌と参考文献を手作業で検索し、このレビューの対象とした試験の第一著者およびこの分野の専門家に連絡を取って、さらなる情報を得た。

選択基準:

レビューの対象とした試験は、家族療法と無介入または他の介入とを比較し、うつ病の症状を主要評価項目とした無作為化比較試験および比較試験とした。

データ収集と解析:

2名の著者が独立して、Maastricht-Amsterdam Criteria Listを用いて、方法論的な質を評価した。

3名の著者が独立して、標準化されたデータ抽出の形式を用いて、選択した試験の質的および量的な指標を抽出した。

利用可能なエビデンスの強さを判定するために、エビデンス・レベルを用いた。

選択した試験には異質性が認められたため、メタ解析を行うことはできなかった。

主な結果:

計519人のうつ病患者を対象とした、3件の質の高い試験と3件の質の低い試験が同定された。

これら試験は、介入、被験者、測定方法の点で異質性が高かった。

一部の研究では、方法論的な質がかなり高く、結果が肯定的であったが、うつ病に対する家族療法の効果に関するエビデンスは、3件の試験を統合せず、それぞれの結果に基づくと、中等度のエビデンス(レベル2)が得られた他は、レベル3(エビデンスに限界があるか、矛盾している)を超えなかった。

これは、無治療または待機リスト条件よりも、家族療法がうつ病の軽減と家族機能の改善に効果的であることを示すものである。

著者の結論:

現行のエビデンスの基盤は、異質性が高く、かつ薄弱であるため、うつ病治療における家族療法の全体的な効果について結論を導き出すことはできない。

現時点では、うつ病治療で心理的介入を用いることは、すでにエビデンスの基盤があるため、家族療法より望ましいと思われる。

明確に定義された形式での家族療法の有効性と比較に基づく効果を検討する、さらに質の高い試験を実施する必要がある。

一般向けの要約

うつ病に対する家族療法

このレビューでは、家族療法が、年齢を問わず、うつ病患者の治療において効果的な介入かどうかを検討した。

うつ病に対する家族療法は、特に英国と米国で広く用いられている。

このレビューの対象とした無作為化比較試験の数が少なく、非常に異質性が高かったため、統合することが難しかった。
家族療法は、無治療または待機リスト群よりも効果的と思われるが、他の介入と比較して、どのくらい効果的なのかについては不明なままである。

さらなる無作為化比較試験の実施が必要である。

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Posted on 2014/02/20 Thu. 20:53 [edit]

category: うつ_Cochrane Library

tag: うつ  家族療法 
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エクササイズは小児と青年の不安・抑うつに効果的か?  


Cochrane Libraryの系統的レビューの結果から(2006年7月19日発表)

小児と青年での不安および抑うつの予防と治療におけるエクササイズ

Exercise in prevention and treatment of anxiety and depression among children and young people

Lillebeth Larun, et al.

原文はこちら


背景:

抑うつと不安は、小児と青年でよく見られる心理的な問題である。

最も多く行われる治療は、心理学的な治療(例えば心理療法)、心理社会的な治療(例えば認知行動療法)、生物学的な治療(例えばSSRIまたは三環系薬剤)である。

治療的介入は多岐にわたり、そのために臨床効果と副作用に関して疑問が生じている。

エクササイズはコストが低く、たとえあったとしても、副作用は少ない。

目的:

20歳以下の小児と青年での不安または抑うつの軽減、予防におけるエクササイズによる介入の効果を評価。

検索方法:

2005年8月までのCochrane Controlled Trials Register(利用可能な最新の試験)、MEDLINE、EMBASE、CINAHL、PsycINFO、ERIC、Sportdiscusを検索した。

選択基準:

20歳以下の小児と青年において、抑うつと不安を評価項目とした、負荷の高いエクササイズによる介入に関する無作為化試験。

データ収集と解析:

2名の著者が独立して解析に含める試験を選択し、方法論的な質を評価して、データを抽出した。

試験を統合し、メタ解析を用いた。

報告されたデータを統計学的に統合できなかった場合は、ナラティブ統合(narrative synthesis)を行った。

主な結果:

16件の試験、計1191人の11~19歳の被験者を対象とした。

11件の試験で、小児の一般集団を対象として、負荷の高いエクササイズと無介入が比較されていた。

不安得点を報告した6件の試験では、エクササイズ群の効果は有意ではなかった(標準化平均差[SMD][ランダム効果モデルによる]:-0.48、95%信頼区間[CI]:-0.97~0.01)。

抑うつ得点を報告した5件の研究では、エクササイズ群の効果を支持する統計学的な有意差が認められた(SMD[ランダム効果モデルによる]:-0.66、95%CI:-1.25~-0.08)。

しかし、すべての試験は全体的に方法論的な面で質が低く、対象集団、介入、用いられた測定方法に関して異質性が高かった。

治療中の小児を対象とした1件の小規模な試験では、抑うつ得点で対照群の効果を支持するような統計学的な有意差は認められなかった(SMD[固定効果モデルによる]:0.78、95%CI:-0.47~2.04)。

治療中の小児の不安得点を報告した試験はなかった。

小児の一般集団を対象とし、負荷の高いエクササイズと軽度のエクササイズを比較した5件の試験では、抑うつ得点と不安得点に統計学的な有意差は認められなかった。

3件の試験では、不安得点が報告されていた(SMD[固定効果モデルによる]:-0.14、95%CI:-0.41~0.13)。

2件の試験では、抑うつ得点が報告されていた(SMD[固定効果モデル]:-0.15、95%CI:-0.44~0.14)。

治療中の小児を対象とした2件の小規模の試験では、抑うつ得点に差は見られなかった(SMD[固定効果モデル]:-0.31、95%CI:-0.78~0.16)。

治療中の小児で不安得点を報告した試験はなかった。

小児の一般集団を対象として、エクササイズと心理社会的介入を比較した4件の試験では、抑うつ得点と不安得点に統計学的な有意差は認められなかった。

2件の試験で不安得点が報告された(SMD[固定効果モデルによる]:-0.13、95%CI:-0.43~0.17)。

2件の試験で抑うつ得点が報告された(SMD[固定効果モデルによる]:0.10、95%CI:-0.21~0.41)。

治療中の小児を対象とした1件の試験では、抑うつ得点に差は認められなかった(SMD[固定効果モデルによる]:-0.31、95%CI:-0.97~0.35)。

治療中の小児で不安得点を報告した試験はなかった。

著者の結論:

小児と青年の一般集団において、エクササイズには抑うつ得点と不安得点を低下させる効果があるように思われるが、その効果は小さく、また解析対象とした試験が少数であること、被験者、介入、測定方法が臨床的に多様であることから、結論を導き出すには限界がある。

エクササイズの負荷が高いか低いかには大差がない。

不安および抑うつで治療中の小児におけるエクササイズの効果は、エビデンスの基盤が不十分なために不明である。


一般向けの要約

小児と青年での不安および抑うつの予防と治療におけるエクササイズ

エクササイズは、抑うつと不安の予防および治療の積極的な戦略として奨励されている。

今回のレビューでは、試験データが乏しく、また主に大学生を対象に試験が実施されていることが見いだされた。

健常な小児を対象とした6件の小規模な試験では、無介入よりもエクササイズの方が不安得点を低下させることが示された。

5件の小規模な試験では、無介入よりもエクササイズの方が抑うつ得点を低下させることが示された。

治療中の小児を対象とした研究基盤は不十分であり、抑うつでエクササイズの効果を検討した試験は小規模で、3件しか実施されていなかった。

Posted on 2014/02/19 Wed. 19:23 [edit]

category: うつ_Cochrane Library

tag: うつ  不安  身体活動  小児  青年 
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エクササイズはうつ病に効果的か?  

Cochrane Libraryの系統的レビューの結果から(2013年9月12日発表)

うつ病におけるエクササイズ

Exercise for depression

Gary M Cooney, et al.


原文はこちら


背景:

うつ病は、よく見られる疾患であり、世界中で不健康状態と死亡の重要な原因となっている。

うつ病では、一般的に抗うつ薬および/または心理療法による治療が行われるが、エクササイズなどの他のアプローチを好む患者もいる。

エクササイズによってうつ病が改善される可能性があるとする理論的な根拠がいくつかある。

これは、2009年に最初に発表された以前のレビューの改訂版である。

目的:

成人のうつ病治療における無治療または対照の介入と比較した場合のエクササイズの有効性を判定。

検索方法:

2012年7月13日までのCochrane Depression, Anxiety and Neurosis Review Group's Controlled Trials Register (CCDANCTR) を検索した。

このRegisterには、以下の書誌データベースから関連する無作為化比較試験が登録されている。Cochrane Library(全期間)、MEDLINE(1950年~現在)、EMBASE(1974年~現在)、PsycINFO(1967年~現在)。

また、www.controlled-trials.com、ClinicalTrials.gov、WHO International Clinical Trials Registry Platformでも検索した。

日付不明または言語制限のある研究も検索に加えた。

さらに、2013年3月1日までのCCDANCTRを検索し、まだ登録されていない適格な可能性のある試験は「分類待ち」としてリストに載せた。

選択基準:

うつ病(試験の著者によって定義)の成人(18歳以上)を対象に、エクササイズ(American College of Sports Medicineの基準で定義)と標準治療、無治療またはプラセボ治療、薬物治療、心理療法、または他の積極的治療を比較した無作為化比較試験とした。

また、クラスター試験と個人を無作為化したクラスター試験も選択した。

産後うつ病の試験は除外した。

データ収集と解析:

本レビューの2名の著者が、試験および追跡の終了時点(利用可能な場合)での主要評価項目および副次評価項目に関するデータを抽出した。

全体の統合した(pooled)効果では、Hedges' g法と標準化平均差(SMD)を用いて、二値データではランダム効果モデルのリスク比を用いて、試験ごとに効果量を算出した。

うつ病を評価するために複数の様々なツールが用いられていた場合には、主要評価項目のみをメタ解析に含めた。

エクササイズの「量」が複数記載されていた場合は、最も大きな「量」のデータを用いた。また、低い「量」のデータを用いて感度分析を行った。

うつ病の診断方法(診断面接または尺度のカットオフ値)、エクササイズの強度、エクササイズのセッション数が効果量に及ぼす影響を検討するためにサブグループ解析を行った。

2名の著者が「バイアスのリスク」について評価した。

感度分析によって、研究の質が評価項目に影響を与えているか検討した。

主な結果:

39件の試験(2326人の被験者)が、本レビューの選択基準を満たしていた。そのうち37件の試験のデータをメタ解析で用いた。

多くの試験で複数のバイアスの原因が認められた。14件の試験で無作為化が適切に隠蔽化されており、15件でintention-to-treat解析が行われていた。また、12件で評価項目を盲検化した評価者を用いていた。

エクササイズと無治療または対照の介入を比較した35件の試験(1356人の被験者)で、治療終了時点でのうつ病に関する主要評価項目の統合したSMDは、-0.62(95%信頼区間[CI]:-0.81~-0.42)であった。これは中等度の臨床効果を示すものである。

中等度の異質性(I(2) = 63%)が認められた。

適切な割付けの隠蔽化、intention-to-treat解析、評価項目を盲検化した評価を行っていた6件の試験(464人の被験者)のみを解析したところ、主要評価項目の統合したSMDは、統計学的に有意ではなかった(-0.18、95%CI:-0.47~0.11)。

気分に関する長期的な追跡データを報告した8件の試験(377人の被験者)から統合したデータでは、わずかではあるが、エクササイズの効果が認められた(SMD:-0.33、95%CI:-0.63~-0.03)。

29件の試験で治療の受容性が報告されていた。3件の試験ではQOLが報告されており、コストについて報告されていた試験はなかった。また6件で有害事象が報告されていた。

治療の受容性(介入中の脱落者の人数で評価)のリスク比は1.00(95%CI:0.97~1.04)であった。

エクササイズと心理療法を比較した7件の試験(189人の被験者)を解析したところ、有意差は認められなかった(SMD:-0.03、95%CI:-0.32~0.26)。

エクササイズと薬物治療を比較した4件の試験(300人の被験者)の解析でも、有意差は認められなかった(SMD:-0.11、95%CI:-0.34~0.12)。

1件の試験(18人の被験者)では、エクササイズが高照度光療法より効果的なことが報告されていた(平均差[MD]:-6.40、95%CI:-10.20~-2.60)。

解析対象とした試験ごとに、2名の著者が独立して、Cochrane Collaborationの「バイアスのリスク」ツールに従ってバイアスの原因を評価した。

エクササイズの試験では、介入を受ける者と介入を行う者を盲検化する際に、こういった試験特有の問題がある。

多くの試験では、介入後の解析のための手法として、参加者による自己報告式の評価尺度を用いていた。これは結果にバイアスが生じる可能性がある。

著者の結論:

エクササイズには、うつ病の症状の軽減において、対照群の介入と比較すると中等度の効果が認められた。しかし、方法論的に頑健な試験のみで解析した場合には、エクササイズの効果はわずかであった。

心理療法または薬物治療と比較した場合には、エクササイズにこの両者を上回る効果は示されなかった。しかし、この結論は、数件の小規模の試験に基づいたものである。



一般向けの要約

うつ病におけるエクササイズ

このレビューの重要性:

うつ病は、よく見られる機能障害性の疾患であり、世界中で1億人以上が罹患している。

うつ病は、患者の身体的な健康に重大な影響を及ぼし、またQOLを低下させる。

研究では、薬物治療と心理療法がうつ病の治療に効果的であることが示されている。

しかし、他の治療法を試みようとする患者は多い。

NHSのガイドラインの一部では、エクササイズが、もう1つの治療選択肢となりうる可能性が示唆されている。

しかし、エクササイズがうつ病の効果的な治療であると研究によって実際に示されるかどうかは分からない。


このレビューに関心を抱くと思われる集団:

うつ病に罹患している患者や家族。
一般開業医。
精神保健の政策立案者。
精神保健施設の専門家。


このレビューで取り上げる疑問点:

このレビューは、2010年のCochraneレビューの改訂版である。そのレビューでは、エクササイズは、うつ病の症状を軽減させることができるが、その効果は小さく、患者が運動を止めた後には、その効果は持続しないと考えられると示唆されていた。

このレビューでは、以下の疑問に回答できるように、最後のレビュー以降、うつ病治療としてのエクササイズの効果に関する試験の実施が増えているかどうかを明らかにしようとした。

エクササイズは、うつ病の症状の軽減において無治療よりも効果的か?

エクササイズは、うつ病の症状の軽減において抗うつ薬よりも効果的か?

エクササイズは、うつ病において心理療法または他の非医学的な治療よりも効果的か?

エクササイズはうつ病の治療として患者にどのくらい受容されているか?


このレビューで対象とした研究:

検索データベースを用いて、18歳以上の成人を対象に、エクササイズがうつ病の治療にどのくらい効果があるかについて検討した、質の高い無作為化比較試験をすべて探し出した。

2013年3月までに発表された研究を検索した。

また、2013年3月の時点で進行中の研究も検索した。

すべての研究は、うつ病と診断された成人を対象としていなければならず、実施された身体活動は、『エクササイズ』の定義を満たすことを保証するために、基準に合致していなければならなかった。

このレビューでは、39件の研究、合計2326人の被験者を対象とした。

一部の研究では質が低く、これにより、今回の結果の信頼度には限界がある、とこのレビューの著者らは報告した。

質の高い試験のみを対象とした場合、エクササイズには、気分に対してわずかな効果しか認められず、それは統計学的に有意ではなかった。


このレビューのエビデンスから何が分かるか?

エクササイズは、うつ病の症状の軽減において、無治療よりもやや効果的である。

エクササイズは、うつ病の症状の軽減において抗うつ薬よりも効果的ではなかった。しかし、この結論は少数の試験に基づいたものである。

また、エクササイズは、うつ病の症状の軽減において心理療法よりも効果的でなかった。しかし、この結論も少数の試験に基づいたものである。

また、質の高い試験だけを対象としたところ、エクササイズと無治療の差は決定的なものではなかったことが報告されている。

エクササイズ治療への参加率の範囲は50%から100%であった。

うつ病治療でのエクササイズが、QOLを改善するかどうかというエビデンスに関しては結論が出なかった。


今後の展開:

今回のレビューの著者らは、今後の研究では、どのタイプのエクササイズがうつ病患者に最も有益であるか、また最も有益なセッションの回数と期間についてさらに詳しく検討すべきであると推奨している。

エクササイズが抗うつ薬または心理療法と同程度に効果的であるかどうかを明らかにするためには、さらに大規模な試験の実施が必要である。

Posted on 2014/02/17 Mon. 22:03 [edit]

category: うつ_Cochrane Library

tag: うつ  身体活動 
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性的虐待を受けた小児と青年に対する精神分析療法は有効か?  

Campbell Libraryの系統的レビューの結果から(2013年11月4日発表)

性的虐待を受けた小児と青年に対する精神分析的/精神力動的心理療法:系統的レビュー

Psychoanalytic/Psychodynamic Psychotherapy for Children and Adolescents Who Have Been Sexually Abused: A Systematic Review

Ben Parker, William Turner

原文はこちら


背景:

小児と青年に対する性的虐待は、世界的に深刻な問題であり、被害者に心理的、社会的、身体的に好ましくない影響をもたらす。

こういった影響は、性的虐待の直後に認められる場合が多いが、後年、成人期になってから現れる場合もある。

性的虐待を受けた小児と青年を援助するための介入は数多くあるが、精神分析的/精神力動的心理療法が長年にわたって慣習的に性的虐待の被害者に対して行われてきた。

本レビューでは、精神分析的/精神力動的心理療法が、特に性的虐待を受けた小児と青年に有効であるというエビデンスを見いだすことを目的とした。

目的:

性的虐待を受けた小児と青年に対する精神分析的/精神力動的心理療法の有効性の評価。

検索方法:

2013年5月に以下のデータベースを検索した。
CENTRAL、Ovid MEDLINE、Embase、PsycINFO、CINAHL、Sociological Abstracts、Social Science Citation Index、Conference Proceedings Citation Index - Social Science and Humanities、LILACS、WorldCat。

また、3つの試験登録を検索し、関連する研究論文の参考文献リストを確認、著名な専門家と連絡をとった。

選択基準:

介入前のいかなる時期でも性的虐待を受けたことのある18歳までの小児と青年を対象に、精神分析的/精神力動的心理療法と通常治療または無治療/待機リストの対照群と比較した無作為化試験および準無作為化試験。

データ収集と解析:

レビュー担当者(Ben ParkerとWilliam Turner)が独立して検索結果を審査し、適格基準に合致した研究を同定した。

結果:

本レビューの選択基準を満たした研究は同定されなかった。

著者らの結論:

性的虐待を受けた小児と青年を対象に、精神分析的/精神力動的心理療法と通常治療、無治療または待機リストの対照群と比較した無作為化試験および準無作為化試験はなかった。

それゆえ、この集団における精神分析的/精神力動的心理療法の有効性に関しては、どのような結論も導き出すことはできない。

この欠落は重大である。またこの欠落は、この集団における精神分析的/精神力動的心理療法の有効性に関して、さらに研究を行う必要性を強調するものである。

このような研究は、理想的には、方法論的に質の高い、大規模な無作為化比較試験の形式で行われるべきである。

このような研究が実施されない場合、このテーマに関する将来の系統的レビューでは、重要な研究を見落すのを避けるために、無作為化比較試験以外のより質の低いエビデンスを含めることを検討する必要が出てくるだろう。

Posted on 2014/02/12 Wed. 16:51 [edit]

category: Campbell Library

tag: 性的虐待  精神分析  小児  青年 
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癌患者における疲労感と抑うつの長期的な関係  

Health Psychology誌(2013年12月)から

抑うつまたは疼痛、あるいはその両症状が認められる癌患者における疲労感と抑うつの長期的な関係

Longitudinal relationships between fatigue and depression in cancer patients with depression and/or pain.

Brown LF, et al. Health Psychology, Vol 32(12), Dec 2013, 1199-1208. doi: 10.1037/a0029773

原文はこちら


目的:

疲労感は、癌患者の訴えの中で最もよく見られる消耗性の症状の1つであるが、その原因については他の症状と比べるとほとんど解明されていない。

最近、研究者らが癌に関連した疲労感(CRF)に着目し始めたところ、CRFと最も強く相関するものとして抑うつが浮かび上がってきた。

しかし、この2つの症状の関係の方向性について検討した縦断研究はほとんどない。

そこで本研究では、抑うつとCRFの関係の方向性を評価することを目的とした。

方法:

本研究では、癌患者の不均一な標本で疼痛と抑うつへの介入を行った無作為化比較試験から得た縦断的なデータ(329例)を対象とし、単一コホート・デザインを用いた。

被験者は、臨床的に有意な疼痛および/または抑うつの基準に合致していた。

抑うつが3ヵ月間の疲労感の変化を予測するだろうという仮説を、latent variable cross-lagged panel analysis(試訳:潜在変数交差遅延パネル分析)を用いて検討した。

結果:

抑うつ症状と疲労感は、この標本では強い相関が認められた(ベースラインの潜在変数の相関関係=0.71)。

モデルのデータとの適合度は高かったが(χ(2) (66、N = 329)= 88.16、p = .04、SRMR = 0.030、RMSEA = 0.032、CFI = 1.00)、抑うつと疲労感を結ぶ構造的パスは有意ではなかった。

このことから、一方の症状が、他方の症状に先行し、それを予測してはいないことが示唆される。

結論:

今回の結果から、抑うつ症状と疲労感の関係の方向性に関する仮説は支持されなかった。

この臨床的意義としては、抑うつに特異的な治療はCRFの治療には十分ではなく、その代わりに特に疲労感を対象とした介入が必要であることが挙げられる。


Posted on 2014/02/12 Wed. 01:45 [edit]

category: pickup_Health Psychology誌

tag:   疲労  うつ 
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急性うつ病治療において行動療法に他の心理療法を上回る効果みられず  


Cochrane Libraryの系統的レビューの結果から(2013年10月16日発表)

うつ病治療:行動療法 vs 他の心理療法の比較

Behavioural therapies versus other psychological therapies for depression

Kiyomi Shinohara, et al.

Published Online: 16 OCT 2013

原文はこちら


背景:

行動療法(BT)は、現在うつ病の治療で用いられている心理療法のカテゴリーの1つである。

しかし、他の心理療法と比較した場合の、うつ病における行動療法の有効性と受容性は不明なままである。

目的:

1. 急性うつ病において、他のすべての心理療法の技法と比較した場合のすべてのBTの技法の効果を検討する。

2. 急性うつ病において、他のすべての心理療法の技法と比較した場合の様々なBTの技法(行動療法、行動活性化、ソーシャル・スキル・トレーニング、弛緩訓練)の効果を検討する。

3. 急性うつ病において、様々な心理療法の技法(認知行動療法[CBT]、第3世代のCBT、精神力動的心理療法、人間主義的心理療法、統合的心理療法)と比較した場合のすべてのBTの技法の効果を検討する。

検索方法:

研究検索で用いたデータベースは、(全期間にわたって)Cochrane Libraryから関連する無作為化比較試験を含めたCochrane Depression Anxiety and Neurosis Group Trials Specialised Register(CCDANCTR, 31/07/2013)、EMBASE(1974~)、MEDLINE(1950~)、PsycINFO(1967~)であった。

また、CINAHL(2010年5月)、PSYNDEX(2010年6月)、対象とした試験論文の参考文献リスト、追加で発表された研究および未発表の研究に関するレビューでも検索を行った。

選択基準:

成人の急性うつ病において、行動療法と他の心理療法を比較した無作為化比較試験とした。

データ収集と解析:

2人以上のレビュー担当者が、独立して研究を同定し、研究の質と抽出したデータを評価した。

さらに情報を得るために研究の著者と連絡をとった。

主な結果:

25件の研究で、955人の被験者を対象として、行動療法と他の心理療法の5つの主なカテゴリー(CBT、第3世代のCBT、精神力動的心理療法、人間主義的心理療法、統合的心理療法)のうち1つ以上の技法が比較されていた。

ほとんどの研究は、サンプルサイズが小さく、バイアスのリスクが不明確または高いと評価された。

他のすべての心理療法を併せて行動療法と比較したところ、行動療法の奏効率に有意差は認められず(18件の研究、690人の被験者、リスク比[RR]:0.97、95%信頼区間[CI]:0.86~1.09)、また受容性にも有意差は認められなかった(15件の研究、495人の被験者、全体の脱落率のRR:1.02、95%CI:0.65~1.61)。

同様に他の心理療法それぞれと比較したところ、行動療法よりも認知行動療法に対する反応の方が良好であるという質の低いエビデンスが示された(15件の研究、544人の被験者、RR:0.93、95%CI:0.83~1.05)。

また、精神力動的心理療法よりも行動療法に対する反応の方が良好であるという質の低いエビデンスが示された(2件の研究、110人の被験者、RR:1.24、95%CI:0.84~1.82)。

統合的心理療法および人間主義的心理療法と比較したところ、それぞれとの比較を行った試験は1件しかなく、解析により行動療法と統合的心理療法または人間主義的心理療法との間に有意差は認められなかった。

著者の結論:

本レビューにより、行動療法と他の心理療法の効果は同等であるという低~中等度の質のエビデンスが見いだされた。

行動療法の相対的な有益性と有害性を評価する現行のエビデンスの基盤は極めて薄弱である。

そのため、治療の奏効および脱落に関する主要な評価項目の効果量およびその精度に対する信頼度は低い。

試験計画の報告と治療に対する忠実度(fidelity)を改善し、より多くの症例を募集する試験を実施することで、本レビューでのエビデンスの質は改善されていくだろう。


一般向けの要約:

うつ病治療における行動療法 vs 他の心理療法の比較

大うつ病は、よく見られる精神疾患の1つであり、長期にわたって持続する気分の落ち込みと、楽しい活動への興味の喪失を特徴とする。

この疾患には様々な症状が伴い、体重減少、不眠、疲労感、気力の喪失、不適切な自責の念、集中力の低下、死に対する病的な思考などが認められる。

医療現場では、抗うつ薬がうつ病治療の中心であるが、心理療法も依然として抑うつ性障害の代替治療または補足的な介入として重要である。

今日では、様々な心理療法が利用可能である(例えば、認知行動療法、行動療法、精神力動的心理療法、人間主義的心理療法、統合的心理療法)。

あるタイプの心理療法が他のタイプの心理療法よりも効果的なのかどうか、また、うつ病の最も効果的な治療法はどのタイプの心理療法なのかを明らかにすることは極めて重要である。

本レビューでは、心理療法の1つである行動療法(BT)を対象とした。それは、BTが相対的に実施しやすく、またBTに対する関心が最近になって再び高まっているからである。

行動療法は通常、オペラント条件づけとレスポンデント条件づけの原理に完全に基づいており、患者の行動パターンを変化させることによって、抑うつ気分を変えることを目指す。

多くのBTモデルが開発されているが、本レビューでは、以下のアプローチを行動療法と分類した。行動療法(Lewinsohnのモデルに基づき、楽しい活動を増やすことに重点を置く技法)、行動活性化(認知行動療法の行動的側面に端を発し、1996年のJacobsonの研究に基づく)、ソーシャル・スキル・トレーニング/アサーティブネス・トレーニング、弛緩療法。

本レビューでは、成人の急性期のうつ病治療において(慢性のうつ病でも治療抵抗性のうつ病でもなく)、他のすべての心理療法と比較した場合の行動療法の有効性と受容性を評価した。

25件の無作為化比較試験を本レビューの対象とした。

本レビューのエビデンスの質は低かった。これは、検索で得た試験のデザインによる問題とレビューの結果の精度が不十分であったことによる。

本レビューでは、行動療法と他のすべての心理療法は、同程度に効果的で許容可能なことが示されたが、この結果を確認するためには、さらなる研究が必要である。

Posted on 2014/02/10 Mon. 20:38 [edit]

category: うつ_Cochrane Library

tag: うつ  行動療法 
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侵入的想起により乳癌治療後の行動症状が悪化  

Health Psychology誌(2014年2月)から

癌に関する侵入的想起は乳癌治療後の行動症状を予測

Cancer-related intrusive thoughts predict behavioral symptoms following breast cancer treatment.

Dupont A, et al. Health Psychology, Vol 33(2), Feb 2014, 155-163. doi: 10.1037/a0031131


原文はこちら



目的:

気力、睡眠、気分における障害といった行動症状は、乳癌生存者でよく見られるものであるが、これらのネガティブな転帰のリスク因子がいくつか同定されている。

本研究では、治療後1年の乳癌生存者を対象に、侵入的想起が、長期化する症状の予測因子かどうか検討した。

方法:

データは、Moving Beyond Cancer psychoeducational intervention trial(心理教育的介入試験)から得た。
この試験は、患者から生存者への移行を容易にすることを目的としたものである。

558人の女性が、治療後4週間以内、2ヵ月、6ヵ月、12ヵ月後に心理社会的な側面に関する質問票に回答した。

成長曲線モデルを用いて、また実験条件および他の共変量を統制して、ベースライン時の癌に関する侵入的想起が、疲労、睡眠障害、疼痛、乳癌に特異的な症状、抑うつ症状、ネガティブな感情、QOLの予測因子かどうか検討した。

結果:

侵入的想起は、ベースラインでも12ヵ月の評価でも、すべての症状の重症度の悪化と関連していた。

また、侵入的想起は、経時的に、疼痛、抑うつ症状、ネガティブな感情、身体機能の経過に影響を与えていた。ベースラインで侵入的想起が多かった女性は、最初は症状の悪化がみられたが、経時的に改善されていった。侵入的想起が少ない女性では、一貫して症状が軽度なまま安定していた。

侵入的想起は、疲労、睡眠、乳癌に特異的な症状、精神機能の経過とは関連していなかった。ベースラインで侵入的想起が多かった女性は、最初の悪化した状態が持続していた。

結論:

侵入的想起は、乳癌治療後1年の行動症状の長期にわたる悪化およびQOLの悪化と関連しており、不良な転帰のリスク因子である可能性がある。

Posted on 2014/02/06 Thu. 14:17 [edit]

category: pickup_Health Psychology誌

tag:   QOL 
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中年成人において有酸素運動は有意に記憶を改善  

Health Psychology誌(2014年1月)から

中年成人におけるサイクリング vs ストレッチ/コーディネーション・トレーニングの特異的な認知的効果

Differential cognitive effects of cycling versus stretching/coordination training in middle-aged adults

Hotting K, et al. Health Psychology, Vol 33(1), Jan 2014, 19. doi: 10.1037/hea0000048

原文はこちら

Health Psychology, 2012, Vol. 31, No. 2, pp. 145-155.に掲載された論文の修正版


目的:

身体運動は、高齢者では認知機能の向上と関連しており、脳の可塑性を強化する。

そのポジティブな効果は、脳の前頭部と関連する実行機能に関してほぼ一貫して報告されてきた。

一方、齧歯類では、ランニングによって、記憶に重要な脳領域である海馬の機能的および構造的変化が誘発されることが示されている。

どの認知機能が運動の影響を受けやすいのか、また有酸素運動を増やすことが認知機能に有益かどうかという問題は依然として議論の対象である。

さらに、中年成人での認知への運動の影響についてはほとんど分かっていない。

方法:

運動習慣のない40~56歳の男女68人を、有酸素性持久力トレーニング(サイクリング)群または非持久力トレーニング(ストレッチ/コーディネーション)群の2つのトレーニングプログラムのいずれかに無作為に割り付けた。

両群ともに6ヵ月間、週2回の運動を行った。

さらに、運動習慣のない対照群も検討に加えた。

ベースラインおよび6ヵ月後に、標準化された心理検査によってエピソード記憶、知覚速度、実行機能、空間推論について評価し、全被験者に心血管系のフィットネス検査を実施した。

結果:

サイクリング群とストレッチ/コーディネーション群の両群で、対照群と比較して記憶の有意な改善が認められた。

エピソード記憶の改善と有酸素運動の増加には正の相関が認められた。

ストレッチ/コーディネーション・トレーニングは、サイクリング・トレーニングよりも選択的注意を顕著に改善していた。

結論:

今回の結果から、有酸素運動は、高い機能を有する中年成人でも有益な効果があるが、このベネフィットは、幅広い認知機能というよりは、記憶に極めて特異的であることが示唆された。

Posted on 2014/02/05 Wed. 20:10 [edit]

category: pickup_Health Psychology誌

tag: 身体活動  認知機能 
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HIV患者の携帯電話への受診を促すメール送信により、治療アドヒアランスと臨床アウトカムが改善  

Health Psychology誌(2013年3月)から

HIVの治療アドヒアランスに対する介入としてのオーダーメイドの文章によるメッセージ通信:概念実証研究

Tailored text messaging intervention for HIV adherence: A proof-of-concept study

Lewis, Megan A, et al. Health Psychology, Vol 32(3), Mar 2013, 248-253. doi: 10.1037/a0028109

原文はこちら


目的:

本研究では、オーダーメイドで変更させた薬物治療に関するメッセージを、HIV感染者(PLWH: people living with HIV)に文章で伝達した場合、それが十分に受容され、治療のアドヒアランスと臨床アウトカムが改善されるかを検討することを目的とした。

方法:

今回の予備的な概念実証研究では、同性と性交渉をもつ男性(MSM: men who have sex with men)52名を、ゲイ、レスビアン、バイセクシャル、性転換者の健康促進を目的とするクリニックで募集した。

選択基準は、25歳以上で、英語が話せるHIV陽性のMSMとした。

また、参加者は、自身の医療記録が閲覧されることに同意し、携帯電話を所持し、3ヵ月にわたる介入期間中に文章によるメッセージを受信することができる者とした。

参加者は、ベースライン時に、様々な人口統計学的、社会的な質問、また健康に関する質問について評価する調査に回答し、3ヵ月にわたり文章によるメッセージを受信した。

また、双方向メッセージ通信によって、週1回のアドヒアランスに関する質問に回答し、介入期間終了時にも追跡調査に回答した。

臨床アウトカムは、ベースラインと追跡調査の時点での参加者の医療記録から得た。自己報告の薬物治療のアドヒアランスと臨床アウトカム(CD4陽性細胞数とウイルス量など)について評価した。

結果:

参加者は、文章でのメッセージによる介入に受容的で、そのメッセージを読み、好感を持ったと報告した。

自己報告の薬物治療のアドヒアランスは、研究開始時にはアドヒアランスが良好ではなく、オーダーメイドの薬物療法に関する助言を受け取った参加者で有意な改善が見られた。

ベースラインと追跡調査の間で、全体的なウイルス量は有意に低下し、CD4陽性細胞数は有意に増加していた。

結論:

今回の結果により、双方向の文章によるメッセージ通信を用いて、オーダーメイドで変更させたアドヒアランスに関するメッセージによって、アドヒアランスが向上し、PLWHの重要な臨床アウトカムが改善されることが実証された。




Posted on 2014/02/05 Wed. 01:11 [edit]

category: pickup_Health Psychology誌

tag: HIV  情報提供による介入  保健行動  保健メッセージ 
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