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若者の薬物使用の治療に短期戦略的家族療法は有効か  

Campbell Libraryの系統的レビューの結果から(2013年9月2日発表)

若者の非オピオイド薬使用に対する治療での短期戦略的家族療法(BSFT):系統的レビュー

Brief Strategic Family Therapy (BSFT) for Young People in Treatment for Non-Opioid Drug Use: A Systematic Review

Maia Lindstrom, et al.

原文はこちら


背景:

若者の薬物使用は、世界中で深刻な問題となっている。

本レビューでは、幅広い健康問題や社会問題と強く関連している大麻、アンフェタミン、エクスタシー、コカインなどの非オピオイド薬使用に対する治療に焦点を置いた。

短期戦略的家族療法(BSFT)は、マニュアルに基づいた家族療法のアプローチであり、家族システムの相互作用のパターンを同定、改善することを重視している。そして、この家族システムは、若者の薬物使用と直接的な関連があると仮定されている。

BSFTは、主に構造的家族理論(家族の構造がどのように若者の行動に影響を与えているか)と戦略的家族理論(問題焦点型で、実際的な治療技法)に依拠している。


目的:

本レビューの主な目的は、非オピオイド薬使用に対する治療において、若者での薬物使用の抑制へのBSFTの効果に関する現行のエビデンスを評価すること、そして可能ならば、BSFTが特定のタイプの被験者でより効果的かどうかを明らかにするために、薬物使用の抑制効果への影響要因を検討することであった。


検索方法:

広範囲にわたる検索方法を用いて、適格な試験を同定した。

2011年6月に電子書誌データベース、加えて政府および政策機関のデータバンク、灰色文献のデータベース、他のレビューの引用文献を幅広く検索した。

さらに、原著論文の参考文献リストを検索し、関連する学術誌を手作業で検索、またGoogleを用いてインターネットでの検索も行った。

また、BSFT分野の研究者との情報交換を継続して行った。

検索では、言語と研究の発表年に制限をかけなかった。


選択基準:

以下の適格基準に合致した試験を本レビューの対象とした。

・非オピオイド薬の使用によって試験に登録された11~21歳の若年患者を対象に、外来患者向けのマニュアルに基づいたBSFT治療に関する試験

・実験研究、準無作為化試験、非無作為化比較試験のデザインを用いた試験。

・以下の適格な評価項目のうち最低でも1つの項目について報告した試験。
適格な評価項目:薬物使用の頻度、家族機能、学業または仕事への取り組み、治療の継続、リスクのある行動または他のすべての有害作用。

・精神障害の治療だけに焦点を合わせていない試験。

・主な介入としてBSFTを実施している試験。


データ収集と解析:

文献検索によって、計2100本の文献が得られた。そのうち58件の試験が関連するとみなされたため、適格かどうかの審査を行った。

6本の論文からデータを抽出した。そのうち2本は、治療の効果に焦点を合わせていなかったため、後に除外した。

3つの独自な試験について報告した4本の論文を最終的なレビューに含めた。

メタ解析を用いて、薬物使用の抑制、家族機能、治療の継続に対するBSFTの効果を、対象とした試験における通常治療(TAU:Treatment as Usual)と比較検討した。これら試験のTAUには幅広い病態と介入が含まれていた。


結果:

本レビューの結果の解釈は、利用可能なデータが非常に少なく、したがってBSFTの効果を検出する統計学的検出力が低かったことを踏まえて、慎重になるべきである。

薬物使用の抑制では、BSFTが、地域治療プログラム、集団療法、最小限の接触(minimum contact)などの対照よりも、治療終了時の薬物使用の頻度に効果があるというエビデンスは得られなかった。3件の試験(520人の被験者)に基づくと、ランダム効果モデルによる標準化平均差は、-0.04(95%信頼区間[CI]:-0.25~0.34)であった。

家族機能では、BSFTが、対照とした介入よりも、治療終了時の家族機能に効果があるというエビデンスは認められなかった。

3件の試験(568人の被験者)に基づくと、両親の報告による家族機能の標準化平均差は、0.06(95%CI:-0.13~0.25)だった(ランダム効果モデルによる)。2件の試験(416人の被験者)に基づくと、若者自身の報告による家族機能の標準化平均差は0.16(95%CI:-0.19~0.51)だった(ランダム効果モデルによる)。

治療の継続では、BSFTは、若年の薬物使用者において、対照とした介入よりも治療の継続を改善する可能性があるというエビデンスが認められた。2件の試験(606人の被験者)に基づくと、ランダム効果モデルによる標準化平均差は、0.55(95%CI:0.39~0.76)だった。

メタ解析は、リスク行動のアウトカムには適していない。それは、各試験で用いられるリスク行動の測定方法に違いがあるためである。

Horigianら(2010)の報告では、リスク行動への有意な効果は認められなかった。

Santistebanら(2003)は、RBPCの社会化された攻撃性(socialized aggression)尺度を用いて、BSFT介入群の若者で、仲間に基づく非行(peer-based delinquency)が大きく減少することを報告している。治療終了時のランダム効果モデルによる標準化平均差は、-0.27(95%CI:-0.72~0.18)だった。

有害作用について報告しているのはHorigianら(2010)のみである。この試験の若者の50%以上で、試験中にリスク行動または他の有害イベントが認められた。

最も多く見られたイベントは、逮捕だった。次に停学または中退、そして家出だった。

しかし、BSFTと対照群のイベントの分布には、BSFTと対照条件との間で明白な違いは示されなかった。

学業または仕事への取り組みという評価項目について報告した試験はなかった。

本レビューの対象とした試験では、方法論的な厳密さと報告の適切さが全体的に不十分だったため、薬物を使用する若者に対するBSFTの効果の評価は信頼性が高いとみなすことはできない。

本レビューの対象とした試験3件のうち2件では、バイアスのリスクを評価するために必要とされる中心的な問題に関する情報(群の割付けの順番の作成法、割付けの秘匿、アウトカムに関するデータの完全性など)の報告が不十分だった。

方法論でのこれらの欠点によって、2件の試験の妥当性に関しては疑問を持たざるを得ない。

それに応じて、結果のどんな解釈に関しても注意を払うべきである。

本レビューの対象とした試験は少数であったため、薬物使用を抑制する効果に影響を与える可能性のある要因を評価することはできなかった。


著者の結論

若者の非オピオイド薬使用に対するBSFTの効果に関しては、結論を下せるような確固たる十分なエビデンスは得られなかった。

さらなる研究が必要であるが、現時点では、他の治療法と比較して、非オピオイド薬の若年使用者で、BSFT治療によって薬物使用が抑制、または家族機能が改善するというエビデンスは得られていない。

本レビューの結果は一貫していなかった。

BSFTは、地域治療プログラム、集団療法または最小限の接触(minimum contact)という対照よりも、薬物使用の頻度および家族機能に対して効果が高いとも低いとも言えず、その一方で、治療の継続では、対照とした介入よりも、良好な効果が認められた。また、長期の治療の継続は、薬物使用の治療による良好なアウトカムの一貫した予測因子として同定されている。

本レビューの対象とした試験の追跡期間の長さが、有意な変化を検出するには不十分だった可能性は残るが、今回認められたエビデンスには、試験の件数と質の両者において限界があることを留意する必要がある。

今回の系統的レビューの目的は、非オピオイド薬を使用する若者において、薬物使用の抑制へのBSFTの効果について明らかになっていることを調査することであった。

現在利用可能な情報には、実際のアウトカムと影響に関する結論を導き出すために必要な根拠が十分提示されていない。

したがって、BSFTの効果に関する結論は実質的に下すことができない。また、本レビューで検討したBSFTという治療アプローチを支持することも、却下することもできない。

この領域で、適切に計画された無作為化比較試験を実施する必要がある。

今後の試験では、その結果を明確に報告し、治療中止後の効果を追跡できるよう長期的な追跡調査を行うべきである。


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Posted on 2014/04/15 Tue. 21:21 [edit]

category: Campbell Library

tag: 青年  薬物  家族療法 
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うつ病の治療に家族療法は有効か?  


Cochrane Libraryの系統的レビューの結果から(2007年7月18日発表)

うつ病における家族療法

Family therapy for depression

Tamara Henken, et al.


原文はこちら


背景:

うつ病患者は、対人関係の問題を抱えていることが多い。。

家族療法はうつ病に対する介入として広く用いられているが、うつ病治療に効果的な治療法であるかどうかは不明である。

目的:

うつ病に対する家族療法の有効性を評価すること。

検索方法:

以下の電子データベースを特別な検索戦略を用いて検索した。CCDANCTR-StudiesとCCDANCTR-References(2005年10月21日に検索)、The Cochrane Central Register of Controlled Trials、Medline(1966年~2005年1月)、EMBASE(1980年~2005年1月)、Psycinfo(1974年~2005年1月)。

また、論文の参考文献リストも検索した。

関連する学術誌と参考文献を手作業で検索し、このレビューの対象とした試験の第一著者およびこの分野の専門家に連絡を取って、さらなる情報を得た。

選択基準:

レビューの対象とした試験は、家族療法と無介入または他の介入とを比較し、うつ病の症状を主要評価項目とした無作為化比較試験および比較試験とした。

データ収集と解析:

2名の著者が独立して、Maastricht-Amsterdam Criteria Listを用いて、方法論的な質を評価した。

3名の著者が独立して、標準化されたデータ抽出の形式を用いて、選択した試験の質的および量的な指標を抽出した。

利用可能なエビデンスの強さを判定するために、エビデンス・レベルを用いた。

選択した試験には異質性が認められたため、メタ解析を行うことはできなかった。

主な結果:

計519人のうつ病患者を対象とした、3件の質の高い試験と3件の質の低い試験が同定された。

これら試験は、介入、被験者、測定方法の点で異質性が高かった。

一部の研究では、方法論的な質がかなり高く、結果が肯定的であったが、うつ病に対する家族療法の効果に関するエビデンスは、3件の試験を統合せず、それぞれの結果に基づくと、中等度のエビデンス(レベル2)が得られた他は、レベル3(エビデンスに限界があるか、矛盾している)を超えなかった。

これは、無治療または待機リスト条件よりも、家族療法がうつ病の軽減と家族機能の改善に効果的であることを示すものである。

著者の結論:

現行のエビデンスの基盤は、異質性が高く、かつ薄弱であるため、うつ病治療における家族療法の全体的な効果について結論を導き出すことはできない。

現時点では、うつ病治療で心理的介入を用いることは、すでにエビデンスの基盤があるため、家族療法より望ましいと思われる。

明確に定義された形式での家族療法の有効性と比較に基づく効果を検討する、さらに質の高い試験を実施する必要がある。

一般向けの要約

うつ病に対する家族療法

このレビューでは、家族療法が、年齢を問わず、うつ病患者の治療において効果的な介入かどうかを検討した。

うつ病に対する家族療法は、特に英国と米国で広く用いられている。

このレビューの対象とした無作為化比較試験の数が少なく、非常に異質性が高かったため、統合することが難しかった。
家族療法は、無治療または待機リスト群よりも効果的と思われるが、他の介入と比較して、どのくらい効果的なのかについては不明なままである。

さらなる無作為化比較試験の実施が必要である。

Posted on 2014/02/20 Thu. 20:53 [edit]

category: うつ_Cochrane Library

tag: うつ  家族療法 
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