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異性愛者である黒人男性の安全な性行為と男らしさに関する質的研究  

Health Psychology誌(2015年4月)から

責任があるのは男性、非難されるべきは女性:
異性愛者の黒人男性における安全な性行為と男らしさに関するディスコースの構造

Responsible men, blameworthy women: Black heterosexual men's discursive constructions of safer sex and masculinity.

Bowleg L, et al.

Health Psychology, Vol 34(4), Apr 2015, 314-327.

原文はこちら


目的:

米国の異性愛者である黒人男性(BHM)は、HIV感染が最も多い集団であるが、critical discursive psychology(CDP)などの革新的な質的方法の必要性を重視しながら、安全な性行為に関するメッセージがどのように彼らの安全な性行動を形成していくかということを検討した研究はほとんどない。

今回のCDP研究では以下の点について検討した。
(a)BHMは、どのように安全な性行為を行うようになり、また男らしさを形成するか。
(b)BHMは、従来の男らしさに関して自分自身をどのように位置づけるか。
(c)ディスコースの文脈(個人面接 対 フォーカスグループ)は、安全な性行為と男らしさに関する議論をどのように方向づけていくか。

方法:

18~44歳で、黒人/アフリカ系アメリカ人の異性愛者と自己申告した男性56名を対象とし、個人面接(30名)と4つのフォーカスグループ(26名)を実施して得たデータを分析した。

結果:

分析により以下の5つの主な構造が明らかになった。
(a)「安全な」女性を意味するものとしてのコンドーム。
(b)性感染症(STI)について女性を非難すること/安全な性行為の責任。
(c)関係/信用/知識。
(d)コンドームの委任。
(e)安全な性行為の公衆衛生。

議論が安全な性行為および/または避妊における男性の影響力を否定した場合、また女性を不正直とみなした場合、あるいは性的なリスクおよび/または妊娠について無関心な場合、ディスコースではBHMは自分自身を従来の男らしさに位置づけていた。

注目すべきことに、安全な性行為または性的な排他性に対する責任をとるということに関してディスコースで強調されたのは、従来とは異なる男らしさだった。

ディスコースの文脈、すなわちフォーカスグループの議論という同性同士の社会的関係は、議論の内容ではなく、参加者が安全な性行為と男らしさに関してどのように議論するかということを方向づけていた。

結論:

安全な性行為におけるBHMの責任を否定した場合、安全な性行為と男らしさに関するBHMのディスコースは、公衆衛生のメッセージを反映したものになる場合が多い。

このことから、性的なリスクを低下させるために、このようなディスコースに合わせて、BHMを対象とした安全な性行為に関するgender-transformativeな(ジェンダーに関する価値観などを変えていく)介入を開発する必要性が明白に示された。

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Posted on 2017/01/28 Sat. 14:14 [edit]

category: 2015年4月号_Health Psychology誌

tag: 質的研究 
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人生の楽しみが多いと死亡率が低下  

British Medical Journal誌(2016年12月13日号)から

高齢者における人生の楽しみの持続と死亡率:English Longitudinal Study of Ageingの分析

Sustained enjoyment of life and mortality at older ages: analysis of the English Longitudinal Study of Ageing.

Zaninotto P, et al.

BMJ. 2016 Dec 13;355:i6267. doi: 10.1136/bmj.i6267.

原文はこちら


抄録

目的:

4年間にわたる人生の楽しみの持続が、総死亡率、心血管疾患による死亡率、それ以外の原因による死亡率と量的に関連するかを検討した。

デザインと設定:

English Longitudinal Study of Ageing(ELSA)のイングランドに居住する高齢男女の全国的な代表標本を用いた縦断的な観察集団研究。

参加者:

募集時の年齢が50歳以上(平均:63歳、標準偏差9.3)の男女9365人。

主要評価項目:

死亡までの時間。これは、データ収集の第3期(2006年)から2013年3月まで(最長7年)の死亡による。

結果

2002年(第1期)、2004年(第2期)、2006年(第3期)に、人生の楽しみを測定することで主観的幸福感を評価した。

2264人の回答者(24%)は、どの評価時点でも人生の楽しみがなかったと報告した。
1833人(20%)は、1回の評価時点で人生の楽しみが多いと報告した。
2063人(22%)は、2回の評価時点で人生の楽しみが多いと報告した。
3205人(34%)は、3回の評価時点全てで人生の楽しみが多いと報告した。

追跡期間中に1310人が死亡した。

死亡率と人生の楽しみが多いという報告数には負の関連性が認められた。

人口統計学的因子、ベースライン時の健康、運動障害、抑うつ症状で補正し、楽しみが多いという報告が0回だった群と比較すると、報告が2回だった群の総死亡率のハザード比[HR]は0.83(95%信頼区間[95%CI]:0.70~0.99)、報告が3回だった群のHRは0.76(95%CI:0.64~0.89)だった。

第3期の測定から2年以内に発生した死亡例を除外しても同様の関連が認められた(HR:0.90、95%CI:0.85~0.95[楽しみが多いという報告が1回増加するごとに])。

また、欠損データのない症例のみを対象とした解析でも同様の結果が示された(HR:0.90、95%CI:0.83~0.96)。

結論:

本研究は観察研究だったため、因果関係に関して結論を導き出すことはできない。

それでもなお、本研究の結果は、幸福感が経時的に持続することの重要性を実証することによって、健康アウトカムにおける主観的幸福感の重要性の理解に新たな面を加えるものである。

Posted on 2017/01/25 Wed. 14:17 [edit]

category: 雑記

tag: 幸福 
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脊髄損傷患者と医療従事者への情報伝達ツールとしての物語の利用  

Health Psychology誌(2015年4月)から

影響力を高めるための情報のトランスレーション・ツールとしてのナラティブ:
障害者と医療従事者への身体活動に関する情報の伝達

Narrative as a knowledge translation tool for facilitating impact: Translating physical activity knowledge to disabled people and health professionals

Smith B, et al.

Health Psychology, Vol 34(4), Apr 2015, 303-313.

原文はこちら

目的:

ナラティブ・インクワイアリーによって物語の有用性は理論的に特徴づけられている。本研究では、成人の脊髄損傷(SCI)患者および医療従事者(HCP)を対象として、身体活動に関する総合的な情報を伝達するツールとしての可能性という点から物語の有用性について検討した。

本研究は、このような文脈で、情報のトランスレーション・ツールとしての物語の利用を系統的に検討した最初の研究である。

方法:

リハビリテーション病院で、43人の参加者(15人のSCI成人患者、13人のSCI患者のメンター、15人のHCP)を対象に、SCI後、身体を動かせるようになるまでの過程に関する根拠に基づいた物語(evidence-based story)を個別に聴取した。

物語に関する参加者の認識について調べるために、個別の電話インタビューを行った。

質的なデータは主題分析によって解析した。

結果:

以下5つの主題が帰納的に同定された―(a)効果的なコミュニケーション、(b)物語の確実性、(c)信頼できるメッセンジャー、(d)物語の形式、(e)行動方式としての物語。

それと共に、主題から、物語に有用性があること、またなぜこの物語が問題なのか、有用性がどのように最大化されるか、その物語が患者とどのように関わっているのか、またどのように役立っているのか、行動の変化を支援するために物語をどのように用いることができるのか、ということを説明する一助となる様々な特性が明らかにされた。

結論:

本論文では、SCI患者およびHCPに対して根拠に基づく情報を提供する方法としての物語の価値が示された。これによりこの領域への理解が深められた。

また、物語によって、対話が促進され、教育、記憶の想起の促進、安心感の提供、意欲の向上が可能であることが示された。

本論文は、様々な立場の聴き手が情報を効果的に共有することを可能にし、個人が有意義な人生を生きられるように援助する実践の場に我々の知見を応用するための情報源となり得る。

Posted on 2016/12/14 Wed. 20:29 [edit]

category: 2015年4月号_Health Psychology誌

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若年成人の飲酒習慣とソーシャル・ネットワーキング  

Health Psychology誌(2015年4月)から

ソーシャル・ネットワーキングと若年成人の飲酒習慣:保健行動研究の革新的な質的方法

Social networking and young adults' drinking practices: Innovative qualitative methods for health behavior research.

Lyons AC, et al.

Health Psychology, Vol 34(4), Apr 2015, 293-302.

原文はこちら


目的:

革新的な質的研究のデザインを用いることで、保健行動の理解が深まる可能性がある。

これを例証するために、本研究では、ニュージーランドのアオテアロアで、複数の質的方法を用いて、若年成人の飲酒行動とソーシャル・ネットワーキングの習慣との接点について調査するプロジェクトを実施した。

方法:

人種、社会階級、職業といった背景因子が多様な18~25歳の男女を対象とした。

第1段階では、友人同士から成る34のフォーカスグループの議論をビデオに録画した。141人が参加し、飲酒とソーシャル・ネットワーキングの習慣について議論された。

第2段階では、23人の個人面接を行い、スクリーン・キャプチャ・ソフトウェアとビデオを用いて、参加者が自分のFacebookのページを見せつつ、話している様子を記録した。

第3段階では、飲酒とアルコールに関するウェブベースのデータベースを開発、解析した。

結果:
友人同士のグループデータから、若年成人は、Facebook経由で飲酒に関する個人的な体験の報告や飲酒に関するネットワーキングを熱心に社交的かつ楽しいものとして共に行っていることが示された。

しかし、この楽しみは、個人面接ではそれほど顕著ではなく、グループでの議論よりも不愉快または問題のある経験や習慣についての話が多かった。

また、飲酒およびソーシャル・ネットワーキングの習慣から得られる楽しみに関しては、民族、性別、社会階級によって違いが見られた。

ウェブベースのデータと参加者の飲酒およびソーシャル・メディアの利用についての話を対比させて分析したところ、若年成人の社会的世界にオンラインのアルコール飲料のマーケティングが深く浸透していることが示された。

結論:

多モード・データセットを生成する複数の質的方法により、若年成人の飲酒習慣とソーシャル・ネットワーキング行動の有用かつ詳細な理解が可能となる。

本研究は、保健政策、ヘルスプロモーション戦略、目標とする保健介入に有用な知見を提供することが可能である。

Posted on 2016/11/25 Fri. 17:07 [edit]

category: 2015年4月号_Health Psychology誌

tag: 保健行動  質的研究  飲酒  ソーシャル・ネットワーキング 
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セルフ・コンパッションの3つの要素  

心理学者クリスティン・ネフ教授のホームページから

原文はこちら


1. 自分への優しさ 対 自己批判

セルフ・コンパッションは、悩んだり、失敗したり、自分が無能だと感じたりした時に、苦しみを無視したり、自己批判によって自分を叱責するのではなく、自分自身に対して思いやりと理解をもつことである。

セルフ・コンパッションのある人は、不完全さや失敗、人生の困難さを経験することは避けがたいことだと認めている。そのため、このような人は、人生が理想どおりにいかない時に怒るのではなく、つらい経験に直面した時にも自分に優しくできる傾向が高い。

人生は思い通りにいかないものである。この現実を否定したり、それと戦ったりした場合、苦しみはストレスや欲求不満、自己批判という形で悪化していく。この現実を共感と優しさをもって受け入れた時、心の平安が得られるようになる。

2. 共通の人間性 対 孤立

望んだ通りにならないという欲求不満には、あたかも「私」が、悩んだり、過ちを犯したりする唯一の人間であるかのような不合理で、圧倒的な孤立感を伴うことが多い。

しかし、全ての人間が悩んでいるのである。「人間」であるということは、死ぬ運命にあり、弱く、そして不完全であるということだ。

それゆえ、セルフ・コンパッションには、苦悩や自分の不完全さは、人間なら誰しも共通して経験するものの1つである、つまり、「私」にだけ起こったものではなく、全ての人間が経験するものだ、という認識が必要である。

3. マインドフルネス 対 過剰同一視

セルフ・コンパッションには、自分のネガティブな感情に対してバランスのとれた見方で対処し、感情を抑圧せず、また過大視もしないことが必要である。

このバランスのとれた姿勢は、苦悩している他者の経験と自分の個人的な経験を関連づける、つまり、自分が置かれている状況をより大きな見方でとらえるプロセスから生まれる。

また、この姿勢は、自分のネガティブな考えや感情を素直に、しっかりと見つめ直したいという気持ちから生まれる。その結果、マインドフルな気づきが保たれる。マインドフルネスは、偏った判断を避け、自分の思考や感情を抑圧、否定せずに、あるがままに観察する受容的な精神状態である。

この状態では、自分の苦しみは無視されず、同時に思いやりの気持ちが生じる。また、マインドフルネスには、ネガティブな反応に巻き込まれて圧倒されないように、思考や感情に「過剰に同一視」しないことも必要である。


Posted on 2016/09/27 Tue. 03:35 [edit]

category: セルフ・コンパッション(自分への思いやり)

tag: セルフ・コンパッション 
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